「Amazon Web Services(AWS)」に対する日本からの答えは、短期間のうちに「OpenStack」ベースのクラウド向け分散型仮想ネットワークサービスのグローバルスイートとして結実した。以下は、同スイートの開発元であるミドクラ幹部へのインタビューである。
米ZDNetで行われたこのインタービューでは、クラウドコンピューティングと仮想化がビジネステクノロジ(そしてもちろんコンシューマーテクノロジ)にもたらした変化について、あますところなく語ってもらったつもりである。クラウドコンピューティングや仮想化といった言葉は極めて単純であるものの、本当に意味するところは幅広く、深淵でもある。このため、これらのテクノロジによってITの世界が最終的にどのようなものになるのか、その全容はいまだ明らかになっていない。われわれに分かっているのは、ものごとのあり方が「恒久的に」変わってしまうだろうということだけだ。
さまざまな国籍のメンバーからなる新興企業のミドクラ(社名は「緑のクラウド」に由来しており、英語表記は「Midokura」となる)は、エンタープライズネットワークの可能性を切り開こうとする企業の1つだ。同社は起業から約2年が経過しているものの、これまでは日本市場に重点を置いていた(オフィスはサンフランシスコと東京、バルセロナにある)。同社の当初の目標は、北米においてAmazonが実現していたようなパブリッククラウドを、日本においても実現しようというものだった。
2012年10月、同社は米国市場への進出を公表するとともに、「MidoNet」プラットフォームを発表した。ミドクラは、同プラットフォームが提供する完全な分散機能によって、より柔軟性の高いソリューションを求めている企業を魅了できると考えている。なお、同社のソリューションは既に日本のハイテク市場において実績がある。
筆者はミドクラが目指す世界を知るために、最高戦略責任者(CSO)であるBen Cherian氏とのインタビューを行った。
——この分野にはさまざまな企業が進出しています。ミドクラの特色は、どこにあるのでしょうか?
市場には、本製品が必要となるさまざまな要因があります。まず、多くの人々がクラウド上でパブリックなインフラやプライベートなインフラを構築しています。そしてクラウド分野に参入する企業は、Amazonと同じ土俵に立とうとしているように見受けられます。統制や柔軟性、コストの節約--これらがこういったクラウドの構築理由となっているのです。
これにより文化とプロセス、テクノロジという3つの領域に影響が及ぼされます。既存のネットワークは拡張性に難があり、本質的にセキュアではなく、障害回復性(に欠ける)という問題を抱えているのです。
一方、MidoNetには3つの大きな特長があります。最初の特長は、完全分散型であるというものです。これこそがクラウドネットワークを取り扱う正しい方法だと言えるでしょう。2つ目の特長は、仮想ネットワークを構築するという考え方にあります。3つ目の特長は、パブリックであるかプライベートであるかに関係なく、IaaS(Infrastructure as a Service)市場のことを考えて構築されているというところにあります。
AWSのような大規模ネットワークプロジェクトを推進するために、われわれはストレージとネットワークに拡張性を持たせる手段を準備する必要がありました。このため、さまざまなところからチームメンバーを招集したのです--共同操業者であり最高技術責任者(CTO)でもあるDan(Mihai Dumitriu)は、Amazonに勤務していた頃につながりを持っていた人材を数多く連れてきてくれました。
われわれは2年以上にわたって努力を積み重ねてきており、日本の投資家たちから550万ドルの資金を調達しています。そして、米国と日本、スペインにおいて、24人の従業員が働いています。
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