各テレビメーカーがスマートテレビの方向性を打ち出す中、Smart TV Boxの最大の強みとなりえるのは、スマートテレビ機能が搭載されたテレビに買い替える必要がない点だろう。多チャンネル契約+インターネット契約含め月額1万円前後のプランでスマートテレビが導入できるのは好材料だ。
JCNに関していえば、KDDIとの関係性も大きなプラス作用だ。スマートフォンやタブレットといった携帯端末との連携はスマートテレビサービスのかなめだが、すでにKDDIがスマートフォンなどで展開中のサービスをそのまま活用できる点はメリットが大きい。DLNAを介したコンテンツ共有などについてもスムーズな利用が予想され、各テレビメーカーが主体となって進めるスマートテレビサービスとの違いを作りやすい環境にある。
一方、あくまでもケーブルテレビ向けであるため、サービスエリア外のユーザーは望んでも利用できない点は少々厄介だ。今回スタートするJCN、さらに経営統合の予定されるJ:COMが加わればかなりのエリアをカバーできることになるが、都市部においても両社のエリア外地域は多く、望めば誰でも利用できるという状況に持っていくにはある程度の時間を要することになる。
想定するターゲット年齢層と、現状のケーブルテレビユーザー層にかい離がみられることも課題のひとつだ。KDDIの担当者は「30~50歳代がメイン」としていたが、ケーブルテレビユーザーは60歳代以上のシニア層がメインとされる。新規加入者の獲得と既存ユーザーへのサービス向上を両立させるためにはシニア層対策が必須となるが、この点についてJCNの藤本氏は自信を見せる。
通常の操作リモコンとは別に用意した専用タブレット端末によるリモコンアプリは、そうしたシニア層対策のひとつ。タブレット端末自体が高齢者に受け入れられるかどうかに不安はあるものの、ボタンのサイズを含む全体的なデザインは通常リモコンと比較して明らかに使いやすそうだ。
自主チャンネルで放送した番組動画をいつでも閲覧できるJCNの独自サービス「地元情報じーもっと」を用意したことや、イメージキャラクターとして俳優の松平健さんを起用していることなども、ある種のシニア層対策と言えるかもしれない。家庭内での配線・接続などを含めたユーザーサポート体制も万全で、そのあたりも「よりユーザーと近い」ケーブルテレビ事業者ならではの強みを活かせる場面と言えるだろう。
当日の会見にアンドロイドの扮装で登場した松平さんは「新しいケーブルテレビの形であり、未来を感じさせるサービス。利用していただけたら嬉しい」とコメント。目論見どおり既存ユーザーへの浸透を進められるかが当面の鍵を握ることになりそうだ。
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