11月24日に翻訳記事『モジラ、Windows向け64ビット版「Firefox」の開発を中止』を速報的に掲載したが、もう少し内容がはっきりしたので続報を伝える。
今回のMozilla Foundationのエンジニアリングマネージャーの決定は、より正確に言うと「『FirefoxのWindows64ビット版』をナイトリービルドの自動ビルド対象から外した」ということだ。それでは、「FirefoxのWindows64ビット版の開発は続けられるのかどうか」という点についての答えは、イエス、ノーどちらとも言える。今後もこれまで通り64ビット版も動作するよう維持する開発は続けられるが、ビルドの配布は当面コミュニティ有志の方が作成したものに限られる見通しだ。
どういうことか説明していこう。ビルドとは、プログラムのソースコードをコンパイルなどして変換し、最終的に実行可能なファイルに生成することだ。ソフトウェアのバージョンは初期の段階から正式版まで大きく分けて、ナイトリー(アーリー)ビルド、アルファビルド(FirefoxではAuroraと呼んでいる)、ベータビルド、リリースビルドがある。
そもそも、元からFirefoxのWindows64ビット版はMozilla Foundationとして公式にはサポートしていないし、アルファ以上の段階で公式サポートに向けて本格的に開発が行われてきてもいない。ただし、最低限の動作が可能になるようにメンテナンスされ、ナイトリービルドだけは最新ソースコードから実行可能な状態に自動ビルドされてきた。繰り返すが、今回の決定では、その自動ビルドを中止したということだ。64ビット版がビルドできなくなるわけではないが、事実上、FirefoxのWindows64ビット版の公式サポートはさらに遠のいたというわけになる。
少なくとも、先のMozillaのエンジニアリングマネージャーであるBenjamin Smedberg氏の言葉を使えば「2013年中に公式サポートに向けて開発が進む可能性は低い」のだ。
決定の背景には、64ビット版では動かないプラグインもあることや、これまでも64ビット版でのクラッシュの修正を優先的に行っていないこと、パフォーマンス的にも64ビット版が有利となっていないことがある。一方で、32ビット版ナイトリーと64ビット版ナイトリーの問題の切り分けが難しくなるケースもあり、ナイトリービルドを提供するコストや労力に見合った利点がないと判断したようだ。このため、今後正式サポートに向けて開発が進められるかどうかは、64ビット版に対する需要や必要性が生じるかどうかにかかっている。
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