イトーキは11月26日、東京・京橋にイトーキ東京イノベーションセンター「SYNQA」を開設する。
同社の創業は1890年。発明品や特許品を世に広めるべく、創業者の伊藤喜十郎氏が大阪に「伊藤喜商店」を立ち上げたのがはじまりだ。そこから、タイプライターをはじめとした事務用品、さらにはオフィス家具などの製造へと事業を拡大した。現在では、ワーカーの知的創造性を引き出すためのオフィス環境づくりの提案から、ファシリティマネージメントを活用した管理など、オフィス環境づくりにおけるさまざまなサービスを展開している。
そうした中で、「需要創出のためのイノベーション」「専門性と総合力を高めたソリューション」により、新規事業を創出するというビジョンを発表。そしてその実証実験の場として開設したのがSYNQAだ。
「思いは『原点回帰』。122年前に大阪で創業し、1950年にこの京橋から東京に進出した。その東京の営業の原点に戻り、創業以来持つ開拓精神で事業を進めることを示したい」と、イトーキ代表取締役社長の松井正氏は語る。
スマートフォンの普及、SNSをはじめとした情報技術が進化する中、企業はオフィスデザインやコミュニケーションのあり方を見直すよう求められている。SYNQAはそのための実験、提案の場を担っていくという。
「新しいオフィスの形、多様な働き方や未来のオフィスのあり方を具現していきたい。ショールームではなく、さまざまなステークホルダーと提携し、場を共有し、新たな協業ビジネスを創出していく共創型事業開発拠点としていく」(松井氏)
SYNQAは、地下鉄銀座線京橋駅直結のビルの1階から3階、延床面積3392平方メートルのスペースを持つ。1階は外部交流スペースとしてギャラリーや電子書籍コーナー、産学実証実験スペース、カフェスペースなど広く交流する空間をもつ。
2階は共創型事業スペースとして、セミナールームやプロジェクト単位で利用を前提としたプロジェクトブースなどが用意されている。同社が提案するクラウドを利用したプロジェクト管理ツールや社内への設置を前提としたデジタルサイネージ、AR技術を用いたプロジェクトの可視化ツールも用意する。3階は、自社のオフィス家具を導入する、展示型のオフィススペースとなっている。
1階については、2013年よりウェブで登録したユーザーに対して無料で開放することを予定する。また、ICTやエコ、FM(ファシリティマネジメント)関連事業者との実証実験も進め、企業内交流を超えた外部交流型ワークスペースの創出を目指す。
「これまでの組織横断・内部交流から、超流動的・外部交流型コミュニティへとオフィスは進化していく。人と情報の流れをデザインすることで、オフィスの次の形が見えてくる」と、イトーキ ソリューション開発統括部長の筧田昭文氏は語る。空間やオフィスだけでなく、情報のデザインといった観点から新たに「働き方」を作り直していくという。
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