凸版印刷メディア事業推進本部が手がける電子チラシ「Shufoo!」は、月間PV数8670万、ユニークユーザー数424万と国内最大級の規模を誇る。サービスを開始したのは今から約11年前の2001年。地域密着型で新聞の折込という限られた形態で続いてきたチラシを電子化し、全国規模のサービスへと導いたその過程と、「いよいよメディアになる」として手がけたスマートフォンへの展開について、凸版印刷メディア事業推進本部電子チラシ事業推進部部長の亀卦川篤(きけがわ・あつし)氏に伺った。
凸版印刷では紙のチラシの印刷も手がけていますが、これがインターネットで見られるようになったら便利だなと考えたのがスタートです。開始当初は今のように全国規模ではなく、大阪のみで4店舗のチラシを電子化するところから始めました。
2004年くらいにイトーヨーカドー、イオンの2社が加わることでユーザーが増え、その後はホームセンター、ドラッグストアと業種も広がっていきました。
一方、新聞の購読減という生活者の変化を受けたことも確かです。チラシは天気予報やニュースなどに近い、習慣的に見るコンテンツです。ですからできるだけ多くの人にチラシの情報を届けたい。新聞の購読数が減るとチラシの情報も届かなくなってしまいます。
この危機感は非常に強くて、実際に今の中学生以降は紙のチラシの存在を知らないかもしれない。ではチラシを見ないとどうなるのか。お客様は高い安いの判断がなく、買い物をしているかもしれないし、逆に流通側はがんばって安い商品を用意しても情報が届かないために、売上が伸びず、消耗戦に入ってしまっているかもしれない。
こうならないためにもチラシが日本の生活者にとって生活情報であり、お買い得情報であるという価値をもう一度伝えていかなければいけない。それが電子チラシの役割だと思っています。
20~40代の主婦の方が中心で、半数以上が新聞非購読層です。PCや携帯電話からチラシを検索して見てもらう仕組みでやってきましたが、2011年に大きくサービスを改善し、本当に見たいチラシがお客様の手元に届くプッシュ型へと変更しました。
これはユーザーがチラシを見たいエリアの郵便番号を登録すると、そのエリアのチラシが毎日PCやスマートフォン、タブレット端末の「Myチラシポスト」という仮想ポストに届くという仕組みです。「Myチラシポスト」に届いたチラシは、紙の折込チラシを仕分けるように、電子チラシを仕分けてチェックすることができます。
またスマートフォンとタブレットへの対応により、タッチ操作で、チラシを選ぶ、見たい場所を拡大するなどが直感的にできるようになったため一人あたりのチラシを見る枚数が増加しています。
この構想はずっと温めていたのですが、スマートフォンやタブレットの登場によって、安定したインターネット環境の拡大や、手軽さなどから、やりやすくなりました。また裏側の仕掛けとしては、プッシュ型に変更したと同時にお客様にチラシを見ていただくことで、クライアント側に1チラシPVに付き10円を課金する方式へと切り替えています。
従来私どもはチラシを電子化して掲載することで収入を得ていましたが、2011年9月にお客様に見ていただくことで課金する方式に変更しました。チラシをきちんと届け、見ていただけた分しか課金されないので、成果が明確にわかることが特長です。通常新聞の折込チラシには家の中に届けるまでに印刷や配送などのコストがかかっていますが、そのコストがかからない分、コストパフォーマンスはいいですね。
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