UPDATE 米連邦地方裁判所のLucy Koh判事は、Apple対サムスンの訴訟を担当した陪審員長が陪審員選定の際に「情報を隠ぺいした」事実があるのかどうか、また何らかの不正があったのかどうかについて、「問題を検討する」ことになった。
Koh判事は、米国時間12月6日に行われる審理において、この問題について調べることを明らかにした。同判事はこの審理において、Appleに対して同社の弁護団がこの陪審員長について把握していた情報を公開するよう求めると述べた。
サムスンは、2012年8月に陪審団が下した、10億ドル超の損害賠償を認める評決を覆そうと試みている。Appleは2011年、サムスンが「iPad」と「iPhone」で使われている技術および意匠の一部を盗用したとして、同社に対して訴訟を起こした。サムスンは、Appleがサムスンの特許数件を侵害していると主張して逆提訴していた。
サムスンはこの評決後、陪審員による不正の結果、公正な裁判を受けられなかったと主張した。
サムスンの主張によると、陪審員長を務めたVelvin Hogan氏が以前の勤務先であるSeagateによって訴えられていたことを陪審員選定時に開示しなかったという。サムスンは、法廷文書において、Seagateとサムスンは「重要な戦略的関係」を結んでいると指摘している。Seagateとの訴訟により、同氏は1993年に自己破産を申請している。サムスンは、Hogan氏がこの訴訟について裁判所に伝えるべきだったと明言している。
Koh判事による命令の内容を以下に抜粋する。
サムスンは2012年10月30日付けで、この陪審員長にまつわる何らかの情報をAppleが把握した事情とその時期について、開示するよう求める申し立てを行った。Appleは2012年11月2日、異議を申し立てた。当裁判所は2012年12月6日の審理において、陪審員選定の予備審問において同陪審員長が情報を隠ぺいしたのかどうか、隠ぺいされた情報が物的に存在したのかどうか、何らかの隠ぺいが不正行為を示すものかどうかという問題について検討する予定である。これらの問題に対する判断は、Appleがこの陪審員長についての情報を把握した事情とその時期を開示する義務についての有無、さらにその義務が発生した時点を問うことと絡み合あわせながら行われる。
法律専門家によると、通常、不正行為の疑いによって陪審評決を覆すことは困難だという。その理由として、米国の法律では弁護士が陪審員室を覗き込むことを望まないことがある。
今回の訴訟の行方を注意深く見守ってきたサンタクララ大学の法学教授Brian Love氏は9月、陪審員の不正を根拠にサムスンがこの評決を覆すのは困難であるという見解を述べた。Love氏は「物的な証拠探しになるだろう。つまり、裁判で取り上げられなかった別の問題が存在したり、陪審員がこの訴訟に関する報告書を読んでいたり、陪審員が外部の圧力による影響を受けていることなどを示す事実を探すことだ」と指摘している。
ただし、Hogan氏はこの例には当てはまらない。予備審問において、同氏は、それまでに訴訟に関わったことがあるかどうかをKoh判事から尋ねられた際に、元の勤務先から訴訟を受けていたことを明らかにしていた。
Hogan氏は、サムスンの申し立てを受けて、Koh判事が同氏に対し、これまでに関わったことのあるすべての訴訟を列挙するよう求めることはなかったと指摘している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス