2010年以降毎年、「iPad」の新モデルが登場している。2012年には既に3種類のモデルが発表された。その1つである「iPad mini」は全くの別物だ。しかし、「Retina Display」搭載の第3世代iPadも突然、7カ月目にして驚きのアップグレードの対象になり、「第4世代iPad」と呼ばれる、外見はほとんど変わらないデバイスになった。
2012年3月に発売された第3世代iPadがいまや「古い」デバイスになってしまったことで、その所有者が腹を立てるのは当然だろうか。そして、新規購入者は慎重になるべきだろうか。1つ目の質問への答えは「イエス」だが、2つ目の質問への答えは「ノー」だ。この新しい第4世代iPadには、改善された点がいくつかある。そのうちの2つは細かい点だが、1つは非常に重要なものだ。2012年秋に登場したほかの新しい「iOS」デバイスと同じように、従来の30ピン式のコネクタに代わって「Lightning」コネクタが採用された。また、背面の「iSight」カメラは変わらないが(5メガピクセル)、前面の「FaceTime」カメラは、720pでのビデオ撮影とより鮮明な自分撮りが可能な、HD対応カメラにアップグレードされた。LTE対応モデルも、幅広い海外通信事業者で利用できるようになっている。
最大の改善点は、内部に潜む新しいプロセッサである。第3世代の「A5X」に代わって、「A6X」が採用された。以前のiPadは性能面に問題があるわけではなかったが、米CNETが3月にiPadをレビューした際に分かったのは、それは「iPad 2」の速度と比べて、それほど大幅に速くなったわけではないということだった。
A6Xは、iPadを期待されていたレベルまで加速させており、Retina Displayのグラフィックスにも良く対応している。言わばこれは「iPad 3S」だ。iPadの価格は16Gバイトモデルが499ドルからで、以前と変わらないことを考えれば、7カ月前よりもかなりお買い得だろう。
3月から、全体的な状況は少し変わっている。競合するタブレットはより手ごろな価格になっている。「Windows 8」と「Windows RT」タブレットは現在、別の選択肢となるような製品を発売している。こうしたタブレットの中で、iPadに太刀打ちできるものはない。実際に最大のライバル製品は、あの無邪気なiPad miniだ。特にRetina Displayを搭載するようになれば、iPad miniは小さいながらも、タブレットの世界を最も大きくかき回す存在になる可能性がある。
Appleは1年サイクルではなく、もっと頻繁なアップデートでわれわれを驚かすのではないか。そう考えて、このiPadを買うのを不安に思うかもしれない。筆者はその可能性は低いと考えている。さらに重要な点は、このiPadが最も優れたiPadであることだ。洗練されていて、第3世代モデルよりも良くなっている。以前にiPadを買おうかどうか迷っていたのなら、今こそ買うべき時だ。それは、少なくとも2012年のうちはまだ、iPad miniよりも優れた製品である。
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