ヤフー地図チームの挑戦--「ナビアプリでナンバーワン目指す」

藤井涼 (編集部)2012年10月26日 11時50分
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 「iOS 6」の地図問題以降、地図アプリへの注目が高まっている。アップルはモバイル端末向けの最新OSであるiOS 6に自社開発した地図アプリを採用。しかし、これまで標準搭載されていた「Google マップ」と比べて情報量が乏しかったことから非難が集中し、Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏が謝罪するなどの事態に陥った。

  • 東京の地図チームは約50人

 これをチャンスとみて、地図アプリの開発に力を注ぐ企業も増えていると思われるが、同じく自社の地図アプリを“爆速”で改良しているのが、長い間PC向けに地図サービスを提供してきたヤフーだ。現在は、東京、名古屋、大阪の地図チームで機能改善やアップデートを行っている。

 同社は、2008年にiPhone 3Gの発売に併せてiOS向けの地図アプリを、また2010年末にAndroid向けの地図アプリを公開しているが、それほど大きなアップデートはしてこなかった。しかしスマートフォンの普及により、外出先で地図やナビ機能を利用するシーンが増えていくことが予想されることから、2011年の末頃から開発を本格化させているという。

  • スマートフォン向け「地図 Yahoo!ロコ」アプリ

 たとえば2012年3月には、キーワードごとに探したい店舗や施設情報を検索できるアプリ「ロコサーチ Yahoo!ロコ」を公開。キーワードから場所を検索する場合は「ロコサーチ Yahoo!ロコ」、地図上から情報を探したい場合には「地図 Yahoo!ロコ」といった、シーンごとの使い分けなどを提案した。また、10月5日にはiPhone 5の画面サイズにも対応している。

 2012年は特にスピード感を持って機能改善や掲載情報の拡充をしてきたヤフーだが、一方でユーザーからは「地図アプリの動作が遅い」という指摘も受けており、いかに操作を快適にするかが課題になっていたと、ヤフー メディアサービスカンパニー 企画本部 Yahoo!ロコ サービスマネージャの佐藤伸介氏は振り返る。

 そこで、9月24日に公開したiOS向け「地図 Yahoo!ロコ」の最新バージョンでは動作スピードを大幅に改善。前バージョンと比べてデータの読み込みが倍以上に高速化している。また、画面の中心から画像を読み込んだり、指でタップしてスクロールした場所を優先的に表示することで、電波状況が不安定な場所でもストレスなく操作できる“サクサク感”を実現しているという。

 さらに、すでにAndroid版で提供していた、リアルタイムに雨雲の動きを把握できる「雨雲レーダー」を搭載したほか、PC向けに提供していた航空写真や地下街などの表示に対応した。今回からiPadにも最適化されている。

  • 画面の中心から画像を読み込むことで、電波状況が悪い場所でも快適に操作できる

  • リアルタイムに雨雲の動きを把握できる「雨雲レーダー」

  • 航空写真や地下街などの表示にも対応した

 佐藤氏は、今後も地図アプリにさまざまな機能を追加していくとしながらも「多機能でありながらシンプルな使い勝手を追求していきたい」と語る。また雨雲レーダーをはじめとする、独自機能を地図に組み込むことでヤフーならではの価値を生み出していきたいとした。「継続的に使ってもらえる地図サービスを目指していきたい。2012年内にはナビゲーションアプリのカテゴリでナンバーワンになりたい」(佐藤氏)

  • 地図アプリの開発を担当した、メディアサービスカンパニー 企画本部 Yahoo!ロコ サービスマネージャーの佐藤伸介氏(中央)と、メディアサービスカンパニー 開発本部の田村孝文氏(左)、宮川博幸氏(右)。今回は大阪チームのシステム統括本部 プラットフォーム開発本部である大江啓之氏もテレビ会議で参加した

 なお、ヤフーではパートナー各社に地図APIを提供しており、iOS 6の地図アプリにも、同社の地点情報API(問題になったマップデザインには非関与)を提供している。物議を醸したiOS 6の地図アプリだが、新たに搭載されたマップの3D表示機能については「高度な挑戦をしている」と佐藤氏は語る。「2Dと3Dを同時に表示させるのはテクノロジーの進化としては正しい方法だと思っている。3Dマップへの対応は非常に高度な取り組み」(佐藤氏)

 また、地図サービスでは大きなシェアを占めるGoogle マップについては「やはりワールドワイドに展開しているところが、他社と比べて抜きんでている」と評価。Google マップでは、地図情報、乗り換え案内、店舗情報など複数のサービスを利用できるが「日本人にとって、1つのサービス上でさまざまなことができるのがいいのか、それとも“食事ならグルメサイト”など、シーンごとにサービスがあった方がいいのかは、まだ判断が難しいところ。(グーグルが)日本のマーケットで今後どのように展開していくのかは興味深い」(佐藤氏)とした。

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