シャープは10月23日、2012年の下半期に向けて国内市場向けに投入する予定のスマートフォン、タブレットの新製品発表会を開催した。新世代の液晶ディスプレイ「IGZO」を軸とした商品展開で、2011年に落ち込んだ国内でのシェア挽回を目指す。
まず、通信システム事業部本部長であるシャープ執行役員の大畠昌巳氏が登壇し、携帯電話分野における同社の現状について説明した。シャープは2010年度までは携帯電話の出荷台数で国内シェアトップを占めていたが、海外メーカーの影響や、LTEなど高速インフラの変化への対応が遅れたことなどにより、2011年度には3位へと下落している。
そこで2012年の10月に組織再編を実施。これまで分かれていた国内営業統括本部を、通信システム事業本部に統合したことで、企画、開発から営業まで一貫した体制を整えたという。
さらに、落ち込んだシェアを挽回するべく「Feel Logic」という開発思想のもと、2012年の下半期は「“Extend”your Feel」というコンセプトを掲げ、ユーザビリティや端末性能の追及、そしてキャリアサービスへのいち早い対応などの施策を進めていくとしている。
続いて通信システム事業本部 マーケティングセンター 所長の河内厳氏が登壇し、2012年下半期の商品戦略について説明した。河内氏は現在のスマートフォン市場について、LTEの急速な広まりによって、コミュニケーションとエンタテインメントを主体としてスマートフォンの活用が広がっており、より生活に密着した活用がなされていくと分析。
その上で、“基本性能の高度化”と“使いやすさへの配慮”の2つを重視し、スマートフォン4機種に加え、106mmと片手で握ることができるタブレット「AQUOS PAD」、そしてフィーチャーフォン2機種の計7機種を投入するとした。
さらに河内氏は、新機種のうち「AQUOS PAD」や「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」に搭載されている、シャープの新世代ディスプレイ「IGZO」について説明。IGZOは、トランジスタの小型化により超高画質であるほか、車の“アイドリングストップ”のように、静止画表示中はディスプレイの表示を止めることで消費電力の削減を実現。またノイズの発生時間を減らすことでこれまで以上に高感度になり、細いペンでも正確に入力できるとした。
AQUOS PHONE ZETAでは、これにクアルコムのプロセッサ「SnapDragon S4 Pro」と、2320mAhの大容量のバッテリを搭載することで、すべての機能を取り込みながらも2日間使えるとアピール。2011年の冬モデル(SH-01D)と比べ、連続静止画表示で3.6倍、連続動画表示で2.8倍ものスタミナを実現するとしている。
インターフェース面でもより操作がしやすいよう工夫がなされているとのこと。電源オフの状態でも背面を2回叩くと音声アプリが起動し、ディスプレイに触れることなく、ロックの解除やアプリの起動などができる「Finger Step & Voice awake」を一部機種に搭載したほか、シャープ独自のインターフェース「Feel UX」もカスタマイズ性を高め、新たに壁紙の変更などができるようになったという。
また新しい体験をもたらす機能として、1630万画素・16倍ズームができるカメラ機能や、パネルを振動させて音声を伝える「ダイレクトウェーブレシーバー」機能を一部機種に搭載していることを説明。加えて、スマートフォン内の写真などを、Wi-Fi経由でコンビニエンスストアのマルチコピー機から印刷できる「PrintSmash」などの新機能も紹介した。
シャープは2013年以降、IGZO搭載モデルを一気に拡大していきたいとのこと。大畠氏は、2012年上半期ボトムとして、シェアを挽回していきたいと意気込んだ。
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