内部にクローズアップしてみる。TW-S7との違いは本体サイズやユニットの径、インシュレータが固定されていることなどが挙げられる。アンプ方式は同様で、音楽の出力が小さい時はコンデンサに充電し、出力が大きくなるとその蓄えたパワーを放電できる独自技術「Super Charged Drive System」回路を採用している。
USBバスパワーのみで10W+10Wの高出力が行なえるため、コンパクトながら迫力のある音を出せる仕様はまさに上位機種譲りと言える。また、スピーカユニットは口径50mmコーン型フルレンジ、マグネットはTW-S7と同サイズの口径55mm大型マグネットを搭載。加えて高性能パッシブラジエータにより、小型形状でもサイズ超の重低音再生を実現する。
独特の卵型形状にも触れておこう。これは単にデザイン的なものではなく、音響的な意味合いでこのフォルムが選択されている。卵型は箱型のキャビネットよりも不要な反射音が少なく定位に優れるほか、高剛性のため吸音材は不要となり、有効容積が増えることから非常に能率が高くなるメリットがある。結果として、音像や奥行きをより明確に再現するために選ばれたカタチなのだ。
さて、いよいよ試聴へと進む。ここでは音楽、映画、ネット動画などを一般的な環境で試聴していく。まずは、WindowsマシンのiTunesで音楽を再生。ビットレートは128kbpsで、いくつかのジャンルを聴いてみる。
エリック・クラプトン「Change The World」では、頭から想像以上の伸びやかな低音が感じられる。運指もしっかり聴こえ、美しいストリングスからボーカルへのつなぎが心地いい。女性ボーカルものの定番、ノラ・ジョーンズ「Don't Know Why」を聴く。ボーカルは語りかけるように優しく、ハートウォーミーという言葉が浮かぶ。かなり近くで弾き語りを聴いているような感覚を覚えた。
そのほかテクノやヒップホップなどのジャンルでは、粒立ちよりも空間の広さを感じさせてくれる印象だった。背面のパッシブラジエータはTW-S7より径が小さくなっているものの、ギターやボーカルに対して非常に効果を発揮していることを実感した。
続いて映画も試してみる。「トランスフォーマー ダークサイドムーン」のDVD版を試聴。チャプタ19~20あたりで観ることができる、車が前方から後方へ走り抜ける移動音やドアの開閉音、人の足音が強調される場面や銃弾が飛び交うシーンなどにおいて、臨場感を保ちながらも細やかな音や緊迫感のあるセリフを明瞭に表現するなど、没入感を持って楽しめる。音にメリハリがあるので音楽よりも映画の方が明確な違いが感じられるだろう。
最後に動画配信サイトで試聴。YouTubeで人気の動画をいくつか再生してみる。ジャンルも多岐に渡るため、ザッピングしながら聴いてみたが、乗り物やイベントなどの映像では、音が前面に来ることでかなり生々しさが出る印象。現場にいるかのようなライブ感がある。PVやお笑いなどは、iTunesのミュージックビデオ同様、音に奥行きが感じられるせいもあってずっと観てしまうなど、本製品のサウンドバランスの良さを体感できた。
どんなジャンルにおいても総じて低音が効いており、広がりのある空間を感じさせてくれる。小さなボディながらも決してチープにならず、メリハリの効いた奥行きのあるサウンドを再生する。試聴した印象では、特に映画の音質向上が目立って感じられた。ただコンパクト故か少し音がこもる感じが残った。よりクリアな音質を求めるのであればTW-S7を選びたい。両機ともに共通して言えるのは、見た目以上のコストパフォーマンスが得られるということ。PCサウンド環境を手軽に押し上げられるという点においては、まさに逸品と言えるだろう。
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