日本のクラウドファンディングにもいよいよ光が見えるか――ハイパーインターネッツが運営するクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」にて、500万円を超える金額を集めるプロジェクトが成立した。
そのプロジェクトは、「IMPOSSIBLE INSTANT LAB」。iPhoneで撮影した画像をインスタントフィルムに現像するという“デジタルからアナログへの変換”を実現するガジェットを開発するというプロジェクトだ。273人のパトロンから、541万4600円を集めた。これはCAMPFIREで最大の支援額になるという。
IMPOSSIBLE INSTANT LABは、米国の大手クラウドファンディングサービス「Kickstarter」でもプロジェクトを掲載。目標金額の倍以上となる約56万ドルを集めた。今回は日本での販売に先駆け、CAMPFIREに出展した。
ハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平氏は「『受注生産』の意味合いが強いプロジェクトなので、金額よりも『どこまで欲しいと思ってもらえるか』が課題だった。100人から1万5000円ずつくらいまでは支援してもらえるとは思ったが、達成するかどうかギリギリという結構チャレンジングな金額設定だった」とプロジェクトを振り返る。
クラウドファンディングは大きく分けると、見返りを求めない「寄付」、金銭的な見返りを求める「投資」、クリエーターの作品を買うため、事前に対価を支払う「購入」という3つのモデルに分けられる。CAMPFIREでもこれまで200万円以上の支援を集めたプロジェクトは複数あったが、その多くは東日本大震災の被災地支援など、社会貢献や寄付の要素が強いものだった。もちろんそれぞれ非常に意義のあるプロジェクトだ。しかし、クリエーターのものづくりへの支援、商品購入という要素で高額の支援を集めるプロジェクトはなかった。
今回のプロジェクト成立によって「もし100万円という金額ならば、(個人でも)貯金すれば1年で作れるかもしれない。しかし500万円ともなると融資を受けるにしても難しい。それを30日という期間で実現できたとなると、資金を集める1つの手段として成り立つのでは」と石田氏は語る。
米Kickstarterでは、ガジェットやゲーム制作で100万ドル以上を集めたプロジェクトが複数存在する。それと比較すればまだまだ支援額は小さいが、「1000万円くらい集まるのであれば、融資やエンジェル投資に見劣りしないプラットフォームになる。スーツの大人にお金を出してもらうのではなく、ファンの人にお金を出してもらう仕組みを作っていければ」と石田氏は期待を寄せる。
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