マイクロファイナンス、ソーシャルレンディング、クラウドファンディング――これらはオンラインで小額の資金を不特定多数の人たちから集め、ひとつの大きな力に集約するサービスだ。寄付の世界を変えた「Kiva」、ローンの概念を変えた「Prosper」、新しい価値観を次々と世に送り出す「Kickstarter」。最近では小額でスタートアップ投資が可能になったMicroVenturesという投資機関まで出現している。
日本でクラウドファンディングという新たな文化の創造を目指し挑戦する若者がいる。石田光平氏、27歳。日本発のクラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営するハイパーインターネッツの共同創業者だ。彼はどのような考えでスタートアップし、この挑戦を続けるのか。
周囲からは「もっと沢山プロジェクトを集めた方がいい」という声も聞きますが、今狙っているのは“ホームラン”です。やはり見られているのはプロジェクトですから。他の人たちが「ああ、自分もやりたい」と思わせるものを提供したい。また、支援がしっかり集まって結果が出せるプロジェクトを大切にしています。その点をゴールに置き、ブラッシュアップとプロモーションをやっている感じです。
現在は社員が4人でインターンやアルバイトを合わせると6人ですね。デザイン、システム、キュレーション、広報。この4つの軸で1人ずつ役割がこなせるようにしたいと考えています。キュレーションとはプロジェクトをプラットフォームに掲載していく仕事。コンテンツを探したり、投稿のあったプロジェクトのブラッシュアップを行います。フィードバックも仕事の1つです。
元をたどれば大学時代の話になります。経済学を学んでいたのですが、フリーミアムといわれるように、ウェブって基本的に無料で見ることができるという世界観があるじゃないですか。それはそれでおもしろいのですが、自分としてはもっと直接お金を支払う仕組みに興味がありました。海外にはチップという習慣がありますよね。ウェブ上の『投げ銭』のような仕組みに興味を持ったのはそのときからです。
たとえば「Wikipediaになら5000円寄付してもいい」という声があって、そう思わせるサービスやコンテンツっておもしろいなと。そういう考えを持ちつつ就職して社会人になって、クラウドファンディングという概念に出会いました。ソーシャルが発達している今ならもっと広げられる。自分がやりたかったのはまさにこれじゃないか、と思いました。それが2010年の春です。すぐに「これをやる」と決心していました。
大学では至って普通の学生でした。就職活動も気合いを入れてやりましたね。広告代理店から証券会社、銀行、出版、いろいろ受けて内定も複数貰いました。だけど最終的に自分が譲れないものはなんだと考えた結果「スーツだけは絶対に着たくない」という理由でIT系ベンチャーに行きました(笑)
当時の自分には、いわゆる「起業マインド」なんて1ミリもありませんでした。起業するかどうかというのはどうでもよくて、勤めながらでもCAMPFIREをやれるんだったらそれでもよかったんです。
ローカライズも可能性のひとつとして考えました。ですが当時は日本のマーケットが見えないし、カルチャーの違いやドネーションに対する意識を改革するところから始めないといけないと考えました。そうなると日本には独自のプラットフォームが必要だと思ったんです。
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