栄光と挫折の1年--ジョブズ氏亡き後のアップルを振り返る - (page 3)

Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年10月11日 07時30分

 同機能が登場してから5カ月後に提起された訴訟は、AppleによるSiriの広告を「不正確で欺瞞に満ちたもの」と呼んだ。実際に使用した場合、同ソフトウェアは基本的な問いも理解できない、と訴状には書かれている。アナリスト企業のBernstein Researchも同様の評価を下した。同社は2週間前のメモの中で、Siriは「嘆かわしいほど性能が不十分」で、Google独自の製品と比較すると特にそうだ、と述べた。


提供:Josh Lowensohn/CNET

 「Siriはいくつかの点で嘆かわしいほど性能が不十分で、それには可用性や自然言語解釈、単純なもの以外の問いに適切に答える能力が含まれる。われわれは18種類の問いについて、SiriとGoogleの検索能力を比較した。全体的に、Siriは特定の分野における明確な検索(例えば、位置情報に基づく検索)は得意だったが、より抽象的または曖昧な検索には苦戦した」(Bernstein Research)

 ほんの数週間前にiOS 6の一部としてリリースされたソフトウェアアップデートによって、映画の上映時間やレストラン情報、スポーツの試合結果といったいくつかの新機能が追加された。

Geniusの広告

 Appleは製品だけでなく、それらを宣伝することに関しても名を馳せた。有名な1984年のコマーシャルから、俳優のJohn Hodgeman氏とJustin Long氏を起用した「Get a Mac」シリーズまで、AppleのテレビCMはおしゃれで印象的なことで知られていた。

 そうした中で、Appleの「boy genius」広告と呼ばれるテレビCMが放送された。Appleのサポート担当の若い男性がApple Storeから離れた日常生活の中で、なすすべのない人々を同社のテクノロジによって助け、ときには人生の問題も解決するといった内容だ。こうした広告はすべてが見当違いで、Appleの顧客は不器用だという印象を与えるほか、ライバルに対する悪意に満ちた当てつけも含まれている、と批判する人たちは述べた。さらに重要なことに、助けは常にそこにあるのに、Appleユーザーには問題が起こる可能性がある、という潜在的なメッセージが込められている。


提供:Apple Screenshot: Chris Matyszczyk/CNET

 夏季五輪中に初登場したこれらの広告は、放送開始から2週間も経たないうちにテレビから姿を消した。さらに、同社はその数週間後、ウェブからもそれらの広告を削除した。同社はそれ以降、これまで成果を上げてきた、製品中心の広告に回帰した。最新のiPhoneでは、ナレーションに有名人を起用し、さまざまな機能を披露した。これらの広告を退屈だと評する人もいるが、侮辱的な広告だと言われるよりはいいだろう。

【未解決の問題】

中国

 言及する価値はあるものの分類が難しい問題が中国だ。中国は、長きにわたってAppleの復活に不可欠な要素としての役割を果たしており、この先何年も重要な話題であり続けるだろう。

 Cook氏がAppleの最高経営責任者(CEO)に就任して何カ月も経った頃、The New York Times(NYT)の連載記事がAppleの事業の製造面を激しく批判した。製造はCook氏にとって思い入れのある分野である。同氏はAppleの最高執行責任者(COO)を務めている間、海外のメーカーを利用して、大量のコンピュータやiPod、現在ではiPhoneやiPadを極めて迅速に製造してきた功績も残している。

 その連載記事(この問題を批判したのはこの記事が初めてではない)は、サプライヤー工場の劣悪な労働環境および安全に関する問題、さらにはそれらのメーカーが改善を行うことを禁じる残酷な商慣行の採用に関して、Appleを激しく批判した。Appleは同社の年次サプライヤー報告書の中で、労働時間と環境基準遵守に関する問題を発見したと述べている。

 Cook氏は、リークされた従業員に対するメモの中で、そうした状況に対処し、同社は「世界中のサプライチェーンで働くすべての作業員」のことを気にかけており、「われわれが彼らのことを気にかけていないというあらゆる示唆は、明白な誤りであり、われわれにとって不快なことだ」と述べた。Cook氏はその後、Goldman Sachsが開催したテクノロジカンファレンスで公の場に姿を見せて、そうした主張を繰り返した。その後、中国を訪問し、Foxconnの工場内で作業員と同じ服を着用して、作業員と一緒に写真に収まった。

 海外での製造に関する懸念と、Appleの関与は今後も続いていく。Students and Scholars Against Corporate Misbehavior(SACOM)が9月に発表した報告書の中で述べたところによると、iPhoneを製造する中国の主要な工場であるFoxconnで働く人々は依然として、「嘆かわしいほど過酷な労働環境」にあり、そのほかの中国の法律違反に直面しているという。同報告書はFoxconnの施設で働く19万2000人の作業員を代表しているわけではない、とFoxconnは述べた。そのわずか3日後、中国の別の地域にあるFoxconn工場で働く2000人の作業員が暴動を起こした。一部報道によると、作業員と警備員の間のささいな喧嘩が原因だったという。7万9000人の従業員を抱えるその工場は閉鎖されたが、翌日操業を再開した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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