UPDATE Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は米国時間9月28日、同社を代表して、新たにリリースしたiOS 6用「Maps」アプリが幸先のいいスタートを切れなかったことに責任があると表明した。
Cook氏は、「われわれ」、すなわちAppleが顧客に対して「実現し得る最高の体験を提供する」ことができず、「大変申し訳なく思う」と声明を公開して述べた。同氏は、Appleが「極めて高い水準」を満たすMapsアプリを提供するために「休まず取り組んでいる」ところであると記すとともに、当面は顧客が困らないようウェブ版「Google Maps」に加えて、米国においては「Bing」「MapQuest」「Waze」などの代替アプリの使用を提案した。
Cook氏は、1億超のiOS 6搭載端末を使用するユーザーにMapsを押し付けたことについて大変申し訳ないと述べ、さらにMapsを同社の高い水準に引き上げることを約束することで、適度の悔恨と希望を表明している。
Cook氏は、Mapsが重要な取り組みであるとともに一から構築する必要があったと述べ、共感を得ようとした。同氏はまた、「iPhone」ユーザーがMapsを満足できるレベルに高めるのを手助けする可能性を示唆し、顧客が使用し、AppleにフィードバックすることでMapsは向上していくと書いている。
Cook氏はまた、こうした問題にもかかわらず、Mapsユーザーはこれまでに約5億件の位置検索を実行していると喜びをあらわにすることなく述べた。このことは、「それほどひどいというわけではない」が、必要ならば別の地図アプリを使用してほしいという意味に解釈できる。
もちろん、Mapsは、完全な失敗作ではない。むしろベータ版の製品だ。公共交通機関の情報やストリートビューが利用できないことに加え、3GでのFlyover表示が遅く、位置検索やランドマーク検索の性能が期待外れであることを気にしなければ、ほとんどの場合において、Mapsの検索で道に迷うことはないだろう。
AppleのCEOであるCook氏の書簡の中で欠如しているのは、ユーザーをいら立たせ、結果的に顧客向けに今回のようなメモを送付することになると知りながら、Appleがベータ版製品を公開した理由についての説明である。同氏は、次のような文面をつけ加えることができたかもしれない。「われわれは、Mapsを非常に優れたアプリにするためにより多くの時間を費やしたかった。しかし、Googleとの間において、同社が『Android』で行っているようにAppleの『iOS』アプリ向けに音声ナビゲーションを提供することについて、合意に達することができなかった。われわれは、Googleとの契約を終結させ、当社のiOS 6用Mapsアプリの導入を促進する上で、Mapsが十分に重要性のある機能だと感じている」(詳細は、AllThingsDigitalの記事「Apple-Google Maps Talks Crashed Over Voice-Guided Directions」を参照してもらいたい)
当然のことながら、企業というものは舞台裏の交渉を公にすることを望まないし、Appleには秘密主義の文化があり、透明性という言葉とは無縁である。その代わりとして、Cook氏は許しを請い、代替の地図アプリの使用を表立って提案するとともに、基本的には顧客に対して、MapsがAppleブランドとしてふさわしいものになるまで手を休めることはないと約束した。今回の動揺を和らげ、ある程度の信頼を得るには、こうしたやり方が賢明であり、Mapsが立ち直るには多少の時間が必要だろう。それまでの間、iOS 6版のGoogle Mapsアプリが利用できるようになれば素晴らしいことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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