Grow!、有限会社油忠、lap&co.、Kedamaの4社は8月20日、「日本定期販売サービス協議会(JSCA:Japan Subscription Commerce Association)」を設立したと発表した。
JSCAは、最近増えつつあるサブスクリプション(定期購入)型ECの啓蒙活動と健全な発展の促進に向け、情報交換や情報発信を行うことを目的とした協議会。設立に関わった4社は、いずれもサブスクリプション型EC関連サービスを手がけている。Grow!は定期購入型ECプラットフォーム「BoxToYou」ベータ版を提供するほか、油忠は日本酒を提供する「SAKELIFE」、lap&co.は洋服やインテリア、コーヒー豆などを提供する「HATCH」を提供。Kedamaはお米を提供する「トラ男」を間もなく開始する予定だ(現在は定期購入型ではない通常のECのみ展開中)。
協議会の会長にはGrow!CEOの一ツ木崇之氏、副会長には油忠の生駒龍史氏、lap&co.代表取締役の三浦有人氏がそれぞれ就任する。
書籍などの定期購入は以前からあったが、国内スタートアップがソーシャルメディアとの連携を意識した定期購入型ECを展開するケースが増えている。この背景について、油忠の生駒氏は、在庫リスクを軽減でき、定期的な収入を確保できるという事業者側の参入障壁の低さがあるという。
しかしユーザーにとっては、“好きなときに好きな商品を最安値で買える”という性質のサービスではない。だが商品を事業者側でキュレーションすることで、嗜好品をより高いレベルで楽しむことができたり、事業者とユーザーのお互いの人柄が見えることで、強い信頼関係を結べたりと、通常のECとは異なるメリットがあると説明する。
このような定期購入型ECは、ここ数カ月で国内スタートアップ7、8社が参入している状況(Grow!の一ツ木氏)だという。
一時期のフラッシュマーケティングサービスの乱立を思い出させる盛況ぶりだが、フラッシュマーケティングといえばグルーポンの「おせち騒動」も記憶に新しいところ。定期購入型ECでも、事業者側の問題でサービス全体がネガティブな印象にとらえられないように努めるという。
たとえば取り扱う商品によっては、古物商や酒販といった特定の免許が必要だったりする。国をまたぐ取引では、関税の問題や取り扱いを禁止されている商品のチェックも必要となる。取り扱う商品によっては、商標権なども問題になる可能性がある。こういった問題が起きないよう、事業者間で情報を共有していく。
事業者は続々増えてはいるが、市場はまだまだ確立されていない定期購入型EC。協議会の設立は早すぎるとの見方もあるが、一ツ木氏は「フラッシュマーケティングでの事例やコンプガチャの騒動のように、何かがあってから行動するのではなく、まずは事業者が相互に健全な仕組みを作っていくべき」と語った。
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