ソニーは8月20日、積層型構造を採用したCMOSイメージセンサ「Exmor RS(エクスモア アールエス)」を商品化したと発表した。従来センサより高画質化、高機能化、小型化でき、スマートフォンやタブレット端末向けに提供していく。10月から順次提供を開始する。
ソニー執行役EVPデバイスソリューション事業本部本部長の鈴木智行氏は「4月にエレクトロニクス事業における重点施策を発表した。その中でコア事業強化の先頭にあるのがデジタルイメージング事業。ソニーは今まで世界初の製品やサービスを世の中に提供し、人々に感動を与えてきた。しかし昨今そのような商品はなかなか出なくなっている。今後はデバイスでソニーを変えていきたい」とイメージセンサにおける意気込みを話した。
Exmor RSは、従来支持基板の上に画素と信号処理回路を1枚にした構造だったCMOSイメージセンサを、支持基板をなくし、信号処理回路の上に画素を配置した積層型構造を採用したというもの。
従来型の裏面照射型CMOSイメージセンサ「Exmor R(エクスモア アール)」に比べ、小型化を実現したほか、R(赤)、G(緑)、B(青)の画素にW(白)を加えた「RGBWコーディング」機能を備えた。これにより、画質を損ねることなく感度を上げられ、暗い部屋や夜でもきれいに撮影できるとしている。
さらに、撮影時に同一画面内に暗所と明所が存在する場合でも色鮮やかに撮影できる「HDR(ハイダイナミックレンジ)ムービー」機能を装備。従来静止画でのみ再現できたHDR画質を動画でも可能にした。
商品化されるのは1/3.06型有効1313万画素の「IMX135」(サンプル価格:1500円)、1/4型有効808万画素「IMX134」(同:1000円)、カメラ信号処理機能を内蔵した1/4型有効808万画素「ISX014」(同:1200円)と、各イメージセンサにオートフォーカス機構付きレンズユニットを搭載したイメージングモジュール「IU135F3-Z」(同:8000円)、「IU134F9-Z」(同:5000円)、「IUS014F-Z」(同:6000円)。いずれも中国の広東省広州にて生産ラインを稼働させていくとのことだ。
ソニーでは、2004年にイメージセンサの生産をCCDからCMOSへと切り替えはじめ、2010年にはCMOSの生産量がCCDを上回っている。2007年には高速、低ノイズを実現した「Exmor(エクスモア)」、2009年にはExmor Rを投入し、今回のExmor RSをラインアップに加えることで、カメラ信号処理の付加価値を提供していく方針だ。
今後は「人間の目を越える」をスローガンに解像度1億画素、4K×2Kなどの数値目標を掲げ、技術革新を提供していくとのこと。今後は、イメージセンサ技術を活用し、照明点灯やカーテン開閉、テレビのチャンネル切り替えなどが指先一本で制御できる高速特殊センサを開発するなど、新たな映像情報活用の拡大に取り組むとしている。
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