この記事は海外のベストセラー書籍を日本語化して配信するサービス「エグゼクティブブックサマリー」の抜粋です。
今回は『メディアの進化』~ ギルガメッシュ叙事詩からグーテンベルグ、そしてグーグルまで ~(The Ascent of Media :From Gilgamesh to Google via Gutenberg)をご紹介します。この要約で学べることは、メディアの16種類の形態とその発展の歴史、メディアが社会に与えた影響、未来のマスメディアについての考察です。
メディアという言葉の本当の意味をご存じでしょうか? メディアという言葉の辞書的な意味は、「媒体」を示すのですが、最近においては、情報を伝達する通信報道機関や情報を記録するものにまで多岐に使われます。 ただしどの時代をたどっても、メディアが、情報と密接な関係にあることは間違いありません。先史時代から様々な方法が取られて人間は情報伝達を行ってきました。
形は変われど、メディアを通じて人間の生活は成り立っているといっても過言ではありません。いわばコミュニケーションの1つであり、メディアがあるからこそ、人間は様々な知識を吸収し、生活を便利にしてきているのです。そして、わずか100年ほど前、録音や録画という技術が生まれると、音声や動画で記録を残すことができるようになりました。さらに、その配信についても、テレビやラジオから、現代ではインターネットの進化で、世界中どこにいても瞬時に欲しい地域の情報を入手できます。
逆に、ソーシャルメディアを利用することによって、自らが情報発信の提供者にもなれる時代になってきました。こうしたメディアの進化を通じて将来我々はどのような恩恵を受けることができるのでしょうか? 本書「メディアの進化」では、メディアの歴史から、社会に与えた影響、そして、未来のメディアの予想について事例を交えながら解説しています。付け加えるならば、すでに人々の生活にしっかりと溶け込んでいるこのメディアという存在を今後、様々な視点で捉え、理解していくことが更に生活を豊かにするカギとなものだと思います。
古代の人は、メディアの本質的な目的である「情報の伝達」を、直接的な活動を通して行っていました。話をしている人の言葉や、演奏している音楽が聞こえる場所、あるいは実際に絵が見える場所に行かなければ、何の情報も得ることができませんでした。それからしばらくして、文書を媒体とすることで、情報などのコンテンツが伝達できるようになりました。そして現在、インターネットにより、コンテンツは一瞬で世界中に広めることができます。
オックスフォード英語大辞典によると、「メディア」は「マス・コミュニケーションの主要手段(特に新聞や放送)」と定義されています。メディアが伝達する主要な情報には、4種類あります。それは、「発話、音楽、画像、文書」です。約35万年前、人間ははじめ、発話の基盤である音を使って意思伝達を行っていたと考えられます。研究者であるクェンティン・アトキンソン博士は、現在主言語として認識されている504の言語はすべて、5万年ほど前にサハラ以南のアフリカで話されていた言語を祖語としている可能性があると発表しました。
発話は文書より何千年も昔から使われていました。音楽もまた、文書より以前から存在し、発話に影響を与えたと考えられています。最古の楽器はハゲワシの骨から作られたフルートで、およそ3万5000年前に今のドイツで作られました。画像については、およそ3万年前に洞窟に描かれた動物の壁画が見つかっています。
文書が最初に登場するのは、少なくとも6000年以上前のことです。その最古の例は、今のパキスタンで栄えていた、大昔に滅亡したハラッパー文明(インダス文明)まで遡ります。また、その他の初期の文書には、楔形文字で表記された古代シュメール語で粘土板に書かれたギルガメッシュ叙事詩などがあります。この叙事詩の編纂者であるシンレキウニンニは、世界で最初の作家です。
古代の人間はリアルの状況、つまり実際にそれが行われているところに行ってはじめて知ることができましたが、現在はネットワークを使って瞬時に情報を知り得ることができます。人類の歴史の中でこの行為は単に伝達の速度が変わっただけで、メディアの基本的な「情報の伝達」という目的は全く変わっていないことがわかります。
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