マスメディアは、ラジオや映画、蓄音器が登場し普及し始めた1920年代から、世界中で中心的な役割を担ってきました。そのようなマスメディアを介した情報伝達は、現代の生活を支配するようになり、「政治、経済、テクノロジー」の3つの主要要素の影響を受けて発達しています。
1960年代半ば、カナダ出身の学者、マーシャル・マクルーハンは、「Understanding Media(邦題:『メディア理論』、『人間拡張の原理』)」を発表し、マスメディアに対する考え方を大きく変えました。マクルーハンの主張は「メディアはメッセージである」というものです。つまり、情報伝達の手段は、それが伝達する情報に優先するということです。メディアは、人間関係や社会の規模や形態を形づくり、コントロールするため、伝達する情報の内容よりも重要です。
マクルーハンは、「地球村」という考えを紹介した著書「The Gutenberg Galaxy(邦題:『グーテンベルグの銀河系』)」の中でそう主張しています。インターネットがどのように世界を繋げ、小さくしたかを考えれば、マクルーハンには驚くべき先見の明があったことが分かります。(地球村:電子的なマスメディアによって、それまで人々がコミュニケーションをおこなう障壁になっていた時間と空間の限界が取り払われ、地球規模で対話し、生活できるようになった。この意味で、電子的マスメディアによって地球全土がひとつの村に変貌した、という考え方)
古いメディアは新しいメディアにその座を奪われるかもしれませんが、古いメディアが無くなることはありません。無くなるどころか、新しい考え方や市場に適応するよう進化します。しかし、昔から、古いメディアの製作者や配給業者、興行主は、新しいメディア形態の登場をとても不快に思っていました。それを示すように、1974年、米国映画協会のジャック・バレンティ元会長は、ケーブルテレビを「市場の巨大な寄生虫」と呼びました。今、「音楽、画像、文書、動画」を、常に進化する形で組み合わせたデジタルメディア作品が作られています。
現代の機械をつかったメディアはまだ誕生して100年足らず、人類の歴史から考えればまだ生まれたばかりと言ってもいいでしょう。確かに情報通信のスピードは加速度的に進化しましたが、大切な事はどんな内容を配信していくのかということにあるのです。
現在、16種類のメディアの形態が存在します。
16種類のメディア形態とは?およそ2,500年前、アテナイ(現アテネ)で成立した演劇が、最初のマスメディアです。どの作品も文化的魅力のある重要なもので、古代の宗教儀式で行われた踊りや歌から派生しました。また、シェイクスピアの時代になると、劇作家は、古代演劇の習慣に当時の最新のテーマを付け加えるようになりました。古代アテネと同じように、今日も多くの町が演劇作品を上演しています。
古代エジプト人は、ナイル川沿いから取れるカヤツリグサ科のアシの一種から作ったパピルス紙に文字を残しています。古代ローマ人は、蝋板に文字を彫りました。また、現在のトルコにいた書記官は、羊の皮を入念に乾かし、保存加工し、削ぎ取りを行い、羊皮紙を作りました。この羊皮紙を木製のカバーではさんで作られた本が、世界最古の書物です。また、西暦紀元初期には、修道士は手作りで書物を作っていました。それらは美術的価値の高いものです。さらに、ヨハネス・グーテンベルグが15世紀に活版印刷機を発明すると、大衆は書物を入手できるようになりました。
有史以前の人間の先祖は、洞窟の壁に動物の絵を描きました。古代エジプトでは、書記官が象形文字を使って物語を書き記しています。また、中世のキリスト教会は、優美な挿絵のついた写本などの画像を使って宗教的主題や理念を伝えていました。さらに、ルネサンスの時代には、裕福な商人は油絵を描かせていました。また、バロック時代、一流の芸術家は今のロックスター並みに有名でした。
古代ローマ時代、町のいたるところに落書きがされていました。古代ポンペイの政治家たちは、町の壁に選挙宣伝のための落書きを残しています。また、中世の商人は、店に看板を下げていました。ポスターがその本領を発揮し始めたのは1800年代になってからです。その頃、印刷技術が発達し、ブランド商品が増加し、町を美しくしようという運動に勢いがついたことで、都市部の公共の場でポスターが広まりました。
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