現在の経済状況では、スタッフをできる限り効率的に活用したいと考えるのも無理はなく、チームメンバーを増やすための予算を得るのは難しい。いくら役割を持ち回りさせることで生じる問題について声高に訴えても、経済状況からこのやり方を取らざるを得ないことも多い。この話のわたしの顧客のように、マネージャーは複数の役割を兼任させることの問題を理解しているが、予算的な制約があって、チームにそのように働くよう求めざるを得ないこともある。
ここで説明したように、スタッフに複数の役割を兼任することを求めざるを得ないチームでは、以下に説明するいくつかの作戦で、リスクを減らせるかもしれない。
-
スキル評価を行う。例えば開発者をPMやBAの役割に割り当てようとする場合、どのチームメンバーがその役割に向いているかを理解していれば役に立つだろう。一部の開発者が他の開発者よりも、BAに必要なファシリテーションやデータモデリング、ビジネスの理解などに向いており、スキルもあるかもしれないと言ったとしても、その人たちを軽んじているというわけではない。例えば他の人は、PMに必要な計画立案やリーダーシップの分野に経験やスキルを持っているかもしれない。
-
役割を定義する。チームメンバーがそれらの役割を片手間や持ち回りでやる場合でも、明確な職務内容説明と役割期待は必要だ。開発者にBAやPMとして振る舞うことを求める場合、その役割に何が伴っており、その役割の成功がどう判断されるかを正確に説明しておけば助けになる。見えない的に当てるのは難しいものだ。そのままずっとその役割をやらせようとは思っていない場合でも、その役割の成功の判断基準が文書で説明されていれば、そのスタッフには狙うべき的ができる。
-
コーチングとメンタリング。開発者にBAやPMの役割を期待するのであれば、それらの役割で成功する助けとなるよう、少なくともトレーニングやコーチング、メンタリングをすることはできる。これは、彼らを現場から引き抜いて、何週間もかけてBAやPMの知識について訓練しろと言っているのではなく、例えば基本的なファシリテーションに関するトレーニングに触れられるようにしたり、行き詰まったときに相談できる優秀な実務者を紹介したりすることを指している。
この記事は、実際の顧客の状況に基づくものであり、わたしの関わりが深まるにつれてもっと多くのことを学べるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。