ヤフーは7月30日、宮城県石巻市に新事務所「ヤフー石巻復興ベース」を開設した。当日は現地で開所式が行われ、ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏や、地元紙「河北新報」の代表取締役社長である一力雅彦氏、三陸河北新報代表取締役社長の西川善久氏などが、復興に対する思いを語った。
石巻復興ベースは、ヤフーの復興支援事業の拠点となる事務所で、河北新報社のビルの1階を使用している。事務所内は、コワーキングスペースとして開放し、誰でも気軽に出入りすることが可能だという。
カフェとキッチンをイメージしたオープンエリアや、ミーティングスペースのほか、Ustreamを無料で配信できる機材なども用意。さらに、隣接する三陸河北新報の多目的ホール「かほくホール」で、70名規模のセミナーも開けるという。
石巻事務所にはヤフーの社員5名が、石巻を拠点に震災の復興支援を行うチーム「Yahoo! Life Design ~Y-LD(ワイルド)~」として常駐する。Y-LDという言葉は、宮坂氏が2012年の入社式で語った「迷ったらワイルドな方を選べ」というメッセージに由来しているそうだ。
石巻を新たな日本の地域の姿に
開所式で挨拶したヤフーの宮坂氏は、「震災直後はいろいろなニュースが出たり、支援情報が出たりと、多少なりともネットが役に立つということはわかったと思う。しかし、それから500日経って、復興フェーズになった時にネットがどう役に立つのかということについては、ヤフーも含めて十分なチャレンジがされていないと思う」とコメント。
また「課題は可能性の裏返しだと思っている。いかんせん、はじめたばかりのビジネスなので、ネットを使ったからといってすぐに大きな効果が出るとは思っていないが、ちゃんと行動した上で力及ばず非難される方が、行動しないより清々しいと思う」と語り、現地とさまざまな形で連携することで、復興に向けた施策を展開していきたいとした。
河北新報の一力氏は「(河北新報のビルは)津波で40~50cmまで浸水して1階は大変な被害をうけたが、皆さんのご協力もあり、こうしてお披露目をする機会をもつことができた」と、同社ビルの1階が復興のための共有スペースとしてリニューアルした喜びを語り、新事務所から復興に向けたさまざまなアイデアが生まれることを期待したいとした。
石巻復興ベースでは、現地の住民や事業者とともに、石巻の新たな価値を生み出し、それらをITを使って発信していく。具体的には、河北新報とコラボした情報発信や、復興デパートメントにおける定期購読などの新たなECの可能性の検証、交流スペースを使ったIT人材の育成・支援などを通じて、「まずは石巻を拠点に新たな日本の地域の姿を作っていきたい」(宮坂氏)とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」