続いて録画機能を見ていこう。録画の方法は、番組を表示中に手動で録画ボタンを押す方法と、番組表から予約する方法、日時指定での予約など、複数の方法が用意されている。ここでは利用頻度が高いと思われる、番組表からの予約手順を紹介する。
番組表を表示した状態で特定の番組をタップすると、番組の詳細がポップアップで表示される。その右上に「予約」というボタンがあるので、これをタップし、次の画面で繰り返しの有無などを指定する。「完了」を押せば予約完了。手順はこれだけだ。予約を終えると番組表上でも予約状態にあることを示すマークが表示されるので、操作ミスも起こりにくい。
前述のように本製品はiPad/iPhone内に録画データが保存されるわけではなく、iPad/iPhoneから本体を制御しているだけなので、予約の操作を完了したあとはiPad/iPhoneをスリープ状態にしても問題なく録画される。iPad/iPhoneのバッテリの状態をまったく気にしなくてよいのは便利だ。
録画を終えたデータは「録画番組」をタップすることで一覧表示されるので、見たい番組をタップすればそのままiPad/iPhone上で再生ができる。iPadで予約した番組データをiPhoneで、iPhoneで予約した番組データをiPadで見るといった芸当も可能だ。また前述のとおり本製品はiVDRを採用しているので、交換することで容量を増やすこともできる。
ちなみに予約は最大100件まで登録でき、ひとつのハードディスクには最大500件の番組が保存できる。二番組同時録画やキーワード録画といった機能はないが、番組表のキーワード検索自体はできるほか、録画しながら別のチャンネルを鑑賞することは可能だ。
以上ざっと見てきたが、操作性は良好で、画質についてもワンセグなどと比較して抜群のクオリティを誇る。なによりワンセグチューナのような機器を接続することなく、iPad/iPhoneの機動性を失わずにテレビ番組を視聴したり、また簡単な操作で録画が行えるのは、大きなメリットだ。
しかしながら、HDDレコーダーやBlu-rayレコーダーの代替として使えるかと問われると、これははっきりと「No」という回答になる。理由は、録画データを外部に書き出す機能がなく、再生もiPad/iPhoneアプリ上でしか行えないからだ。
テレビ録画機能を持つ多くの機器では、録画データをBlu-rayやDVDに書き出して保存したり、あるいはスマホ向けに書き出して外出先などに持ち歩ける。これに対して本製品は、あくまでも本製品の中にある録画データをiPad/iPhoneアプリでリモート再生することしかできない。一時的な書き出しか長期保存かを問わず、そもそも書き出すことをサポートしていないのだ。
唯一、容量がいっぱいになれば新しいiVDRのカートリッジに取り替えることは可能だが、これにしても録画可能な領域が増やせるというだけで、取り外したカートリッジないしはHDDユニットをPCに接続して再生することはできない。アプリが動作するiPad/iPhone、アプリ、本製品の3つが揃った状態で初めて録画データの鑑賞が可能になるわけで、将来的にこのいずれかが欠ける事態になると、ちょっと困ったことになる。
したがって本製品の録画機能は、あくまでもタイムシフト的な視聴、つまりリアルタイムに観られない番組を時間をずらして視聴するためのもので、長期的な保存にはまったく適していないことが分かる。また、録画データはあくまでもLAN上での再生になるので、撮りためた番組を持ち出して通勤通学時に鑑賞する用途にも使えない。購入にあたっては、こうした特性が自分の使い方に合っているか、よく見極めたほうがよさそうだ。
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