佐藤:まだ手探りなところがありますね。カスタマーサポートを別に設けているので、機械的に処理すれば、そちらにご案内という形になりますが、現時点では答えられるものに関してはこちらで対応していくというスタンスでやっています。
というのもお客様からすれば、いろいろ探した結果、TwitterなりFacebookに行きついて問い合わせていただいているのではないかと。そんな時、さらにカスタマーサポートを紹介されたら「たらいまわし」と受け取られるかもしれない。そういう対応はしたくないと思っています。
以前、限定商品の在庫に問い合わせをいただいたことがありました。商品担当者に問い合わせたところちょうどキャンセルが出たか何かで在庫が見つかったんです。それをお客様にお伝えして無事に購入していただけたという経緯がありました。タイミングの問題もありますから、必ずしもうまくいくわけでありませんが、Twitterのリアルタイム性を活かしたお客様サポートができたと思っています。
ただ、もう少し効率的にできる仕組みは整えていかなければならないので、今進めている最中です。回答までに確認の時間がかかってしまうなどのデメリットもありますから。お客様に不愉快な思いをさせずいかに仕組み化していくかが目下の課題の一つです。
茅:基本事項を決め、その中で臨機応変に対応しているという感じですね。例えばFacebookは、投稿する時間を決めているので、掲載の1週間前にチーム内で編集会議をし、曜日ごとに投稿する内容やネタをざっくりと用意しておきます。ただトレンドや物事の時流によって、急遽差し替えることはあります。その間にSNS以外の業務をやりつつといった感じですね。
佐藤:Twitterも基本は同じですね。ツイートするのは朝昼晩の1日3回を基本にしているので、粗原稿みたいなものを用意しています。業務中はTwitterの投稿画面を開きっぱなしにして、別の業務をしながらでも、トレンドはこまめにチェックしています。メンションいただいた場合は確認してすぐ対応できるようにしています。
佐藤:難しいところですね(笑)。楽しいか楽しくないかでいうとホントに楽しいです。お客様の声をこんなにダイレクトにいただくことはないですし、我々が提供した情報や発言がこんなに広まるのだとか、有益に感じていただいたんだというのを痛感するケースが今までありませんでした。それは楽しいのですが、いつもドキドキしながらやってはいます。投稿する前にこの内容で誰かを傷つけることはないか、そういう慎重さは忘れずにやっているので、常に緊張しながら担当しています。
茅:私も楽しいと言えたらいいのですが、どちらかと言うと苦しいといったほうがいいかもしれません(笑)。もちろん楽しい側面もありますが、何を書いたらいいか、どの立場で情報を発信したら効果的か、など悩みはとても多いです。
企業のSNSは基本的に皆さんのパブリックな場所をお借りしていると思っています。我々の伝えたい情報を本当に伝えていいのか、発信している情報を皆さんに喜んでいただけるかどうかというのを常に考えながらやっています。楽しくもあり苦しくもありというところです。
佐藤:TwitterはTSUTAYA本部での運用以外に各店舗やスタッフそれぞれのアカウントで主体的にお客様とのリレーション手段として活用しているのですが、当時は本部として、運用における注意点など各店舗にきちんと伝えられておりませんでした。その時、不愉快な思いをさせてしまった方々の気持ちは、今さらどうすることもできないので、真摯に受け止めて、同様のことを繰り返さないように運用していくことが大切だと思っています。
SNSはメディアとしてまだ成長段階で、どの企業の担当者の方も手探りでやっているところがあると思うのですが、場の空気感を意識することが運用者にとって一番の課題だと思います。我々がけん引して社内に啓蒙していけるような存在にならなければとあの時の失敗事例も含めて、教訓にしています。
佐藤:TwitterもFacebookも本部側での運用はある程度固まってきたので、今後は各店舗の担当者と連携して、ネットワーク化していきたいです。
もう一つは、効果測定の可視化です。SNSを売り上げにつなげていくための具体的なプランニングに取り組みたいです。ECなどネット上でビジネスが完結しているのであれば、比較的データは取りやすいと思うのですが、我々の目的は、いかにお客様をショップへ誘導するかです。そこをどう可視化していけるのかが課題ですね。
「リアルいいね!」みたいなものを店頭に置いてみようとか、LINEやPinterestなどの新しいサービスを取り込んでみようなど、いろいろ考えながらトライ&エラーで取り組んでいきたいと思っています。
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