楽天子会社のKoboは7月5日、国際電子出版EXPOの会場で電子書籍事業の日本展開を説明した。展示ブースには同日から一部書店での店頭展示が始まった電子書籍端末「Kobo Touch」を確かめようとする人々が集まっていた。ブースの一角に設置された壇上でKoboのコンテンツ担当役員を務めるMichael Tamblyn氏がKoboの概要と日本市場への対応を解説した。
Tamblyn氏は世界の電子書籍の市場状況を「米国書籍の20%は電子書籍。さらにベストセラーの30%は電子書籍」と紹介。英国やカナダでも書籍の15%が電子書籍で、提供する出版社も国際展開する大規模なものから小規模、独立系などさまざまな事業者が参入していると説明している。
Koboは2010年12月の販売開始以来、9カ国に展開している。「米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、香港。2011年には英書店大手のWHSmith、仏書店大手Fnacと、今年の1月にはオランダのLIBRISと提携した」。そしてこれから日本への展開を本格化させていく。今年9月にはドイツでも開始を予定しているという。
Koboが揃える電子書籍タイトルは世界で250万冊になる。この市場で成功するためには電子書籍端末やソフトウェアだけでなく「電子書籍だからできること」を提供することにあるという。
Tamblyn氏は、この“未来の読書体験”で大切になるのが充実した書籍タイトルだと説明。「文庫やライトノベル、漫画など膨大な世界中のコンテンツがある。1万6000社の出版取次事業者から69カ国語の電子書籍タイトルを預かっている」
また、現在提供されているKobo Touchに加え、間もなく提供するiOSとAndroidに対応した読書アプリですべての端末で同期が可能になり「マルチ端末での読書体験を提供できる」とした。
電子書籍事業を国際展開する際に重要なことは、それぞれの国ごとに異なる事情への“配慮”だという。「言語だけでなく、専門のスタッフやマーケティング、支払方法、販売方法、ローカル出版社との協力体制、カスタマーサービス、このすべてが必要になる。その点で楽天は日本のマーケットのプロフェッショナル」と1月から親会社となった楽天との連携を強調した。
日本からのコンテンツ配信についても「Koboを通じて世界中でコンテンツを販売できる。世界中でさまざま言葉のコンテンツを揃えている。日本の文庫、文化を世界に配信する」とし、世界各国で販売されている販売網を最大限に生かした展開を、集まった出版関係社に訴えかけた。
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