ブラザーは、同社初のドキュメントスキャナ4機種を発売する。同製品をビジネス向けプリンタと複合機のブランドである「ジャスティオ」の新たなカテゴリ製品と位置付け、年間5万台の出荷を目指す。
ブラザー販売社長の片山俊介氏は「ブラザーでは、中期計画『CS B2015』で成長への再挑戦を掲げ、2015年度までに売上高1.5倍にするといった計画に取り組んでいる」と説明。「その中では、新規事業を含めて事業の拡大を図っていくことになり、今回発表したドキュメントスキャナは、今年6月に発売したヘッドマウントディスプレイなどとともに、新たなカテゴリの製品に位置付けられる。顧客の業務効率化、コスト削減に貢献できる」と意気込みを語る。
複合機で培った紙をスムーズに読み取る紙の搬送機構や、スキャンしたデータの傾き補正、白紙除去などができる画像処理機能を搭載。A4の原稿用紙を毎分24枚での高速読み取りを実現したという。両面読み取り機能によって、毎分48面の読み取りが可能になる。
「複合機で高い評価を得ているスキャン機能を切り出して製品化したものであり、ブラザーの特徴を生かすことができる製品。最上位モデルではPCレスを実現している点も大きな特徴になる」(ブラザー販売取締役の三島勉氏)
最上位機種の「ADS-2500W」では、PCを使用しなくても各種クラウドサービスやスマートフォンなどと直接連携する機能を搭載。モバイル端末連携用ソフトとして「Brother iPrint&Scan」「スキャン to Android」などを提供する。モバイルモデルの「MDS-600」ではクラス最軽量の315gを実現し、可搬性を重視した製品も用意した。
「スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の利用拡大、クラウドストレージに代表されるパーソナルクラウドサービス市場の堅調な伸びなどを背景に、紙や書類をデジタル保存するスキャナへの需要はますます高まると想定している。スキャナは2010年度には前年比90%増という高い伸びとなっており、この勢いはしばらく続くだろう。今回の製品は、そうした新たな需要に向けて投入したもの」(三島氏)
個人市場における“断捨離”を目的としたデータの電子化、学校の資料やレシピの電子化。グループでのデータ共有を目的とした電子化などの利用を想定。ビジネスユースとしては、大量の資料を短時間に電子化する用途、通信コストや印刷コストの低減といった用途を想定している。
「金融機関の窓口などでは、個人の照会作業などで免許証をコピーし、それをファクスするという作業が一般的であったが、ドキュメントスキャナとスキャン to FTPの機能を利用することで、スキャンしたデータをFTPサーバに直接保存でき、データコストの削減、業務効率の向上のほか、情報漏洩のリスクも削減でき、セキュリティ面での課題も解決できる」(三島氏)
量販店ルート、ウェブ販売ルートを通じて個人向けに販売、システム系販売店を通じた企業向け販売を進めていく。「出荷比率では、卓上型が若干多いと想定。当初は個人ユーザーの購入が多いと見込んでいる」(三島氏)という。
卓上モデルのADS-2500Wの市場想定価格は7万円前後、「ADS-2000」が4万5000円前後。モバイルモデルの「MDS-700D」の市場想定価格は2万3000円前後、MDS-600が1万8000円前後。
ブラザー販売 マーケティング推進部部長の大澤敏明氏は「国内のスキャナ市場は年間25万台規模が推定されている。その中でまずは20%のシェア獲得を目指す」という。
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