淀屋橋と並ぶ、大阪最大規模のビジネス街、本町。この地に大阪の企業人やスタートアップが集まるコワーキングスペース「 Osakan Space(オオサカンスペース)」がある。
Osakan Spaceを運営するのは、クラウド型ビジネスチャットツール「ChatWork」を提供するChatWorkだ。同社は、中小企業を中心にIT活用の支援事業を展開。ツールの提供に加えて、オンライン/オフラインでのコンサルティングなどを行っている。
「まだまだITを活用して効率化を図っている中小企業は多くはない。創業期からITを当たり前に使う企業を増やしていくことは大事。そうすることで、よりビジネスの発展も見込める」――同社代表取締役の山本敏行氏は自社のビジネスについてこう語る。
そんな山本氏だが、2011年の夏に渡米し、サンフランシスコで長期の視察をおこなった経験がある。そこで、さまざまな企業や個人がコワーキングスペースに集い、日夜開発を進める姿を目撃。スタートアップの盛り上がりを肌で感じたという。
だが一方で日本を振り返ると、「日本のスタートアップの3分の1は、1年以内に倒産してしまう状況」(山本氏)。これを打開すべく「ビジネスアイデアを持つスタートアップにとって意味のある環境を作りたい。それによって、企業のIT化も進み、ビジネスも盛り上がるのではないか」(同氏)と、“場所”作りの重要性を意識するようになったという。
このような山本氏の思い、そして同社社員がコワーキングの面白さに興味を示していたことから、同社の新事業として1月にOsakan Spaceをオープンした。「これまでのネット事業に加えて、リアルな空間の提供、そして起業支援という3つの軸で、ChatWorkの事業全体ととらえている」(山本氏)
コワーキング事業を任されたChatWorkの大崎弘子氏は、これまでもChatWorkにて「IT飲み会」と銘打った交流会を主催するなど、“人をつなぐこと”を得意としてきた。まさにコワーキングに必要なホスピタリティに長けた人物だった。
「色々なイベントを主催してコミュニケーションを図ってきた。IT業界以外の人たちからも日々さまざまな相談を受けたりしてきた。“コワーキング的なもの”を日頃から(無意識に)実践していたように思える」(大崎氏)。ただ場所を用意するだけでなく、中心となる人物がおり、人と人とをつなぐ素地ができているのはこのスペースの魅力となっている。
Osakan Spaceの席数は40席程度。1フロアには作業のための集中エリア、意見交換やブレストのためのコワーキングエリア、交流したりリラックスするソファエリアがある。
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