コンピューティング機能としての連携や仮想化だけでなく、他社を巻き込んだサービス向上や機能の拡張までもが発表された。これらの機能によって実現される未来は、今あるさまざまな生活用品をつなぎ合わせていくことだろう。典型的なものは自動車だ。各自動車メーカーとの連携も発表され、車とiPhoneの親和性がさらに高まることになる。
携帯電話はこれまで人が持ち歩くものだった。それがモバイルだ。車と連携することでモバイルの意味合いも広くなる。人と一緒に動くものとの連携をiOSがはじめた。それがモビリティだ。連携するモノや領域が広がることでiOSデバイスの用途も拡大し、利便性も向上する。そしてますますユーザーはアップル製品を手放せなくなり、生態系が拡大される。
これは即ち、アップル製品との連携による経済圏が広がっていくことを意味する。最初はアプリだった。そしてケースなどのアクセサリが大量に出回り、さらに機器同士が接続されることで利用用途も広がり、その経済圏も拡大していく。アップルだけでなく、サードパーティのビジネスが広がって行く。良質なスパイラルだ。
今回のWWDCキーノートに参加していて、何か釈然としないものを感じていた。それが解けたような気がする。OSとは1台のコンピュータを管理するオペレーティング・システムだった。それが手元の1台だけでなく、電話回線やネットワークを介して、データセンターや外部サービス連携までもがOSの守備範囲となったのだ。これはアップルが管理するビジネスシステム全体のオペレーティング・システムとも言えるのではないか。つまり、アップルの垂直統合事業モデルの戦術兵器が「Mountain Lion」であり「iOS 6」なのだ。
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