Arkはどの企業にも所有されるべきではない。TechCrunchは米国時間5月21日、人物検索の新興企業であり、多額のシードマネーを調達したArkがFacebookからの買収打診を拒否したと報じた。これは朗報だ。
Arkもまた、古くからある未解決のニーズを満たそうと試みている。その試みとは、すべてのソーシャルネットワークを検索して、ユーザーが探している人々を見つけるサイトの構築だ。Googleがこれを実行できないことはよく知られている。FacebookやTwitter、LinkedInなどによって構造化され、閉ざされたデータベースの内部は、Googleでは検索できないからだ(ユーザーがログインしているならば、「Google+」ではもっとうまくいくはずだが)。
筆者は以前、Spock(現在はiSearch)など、似たような目的を持った企業を取り上げたことがある。しかし、野心旺盛な人物検索企業の多くは、タイミングと組み合わせを誤った。これらの企業はFacebookが台頭する前にピークを迎えた。また、友人ではなく、有名人の検索を支援することに注力した。
Arkには、友人をこっそり追跡するような側面があるが、そのすべてが悪いというわけではない。恋人のいない高校の同級生を探している、下心のあるユーザーはいるだろうか。もしくは、Amazonへの就職を支援できそうな、自分とつながりのある人を探すのかもしれない。Arkでは、学校、交際関係、勤務先などのフィルタを設定することができる。自分のFacebookネットワーク内のユーザーだけを探している場合でも、ArkはFacebook自体よりも効果的に検索を実行できる。Facebookにはもちろん、「かつて知り合いだったすべての独身女性を検索する」ような機能はない(Zooskを参照してほしいが、これはまた別の話だ)。
Arkには、設定したフィルタに合致する人が近くにいるときにそれを知らせる、モバイル通知機能まで搭載される予定だ。
創設者のPatrick Riley氏とYiming Liu氏はTechCrunchに対し、「もしGoogleとFacebookが戦争状態になければ、両社が協力して開発するものは何だろうかと想像した」と述べた。だからこそ、FacebookもGoogleも、そしてTwitter、LinkedIn、MicrosoftもArkを所有すべきではない。これらのソーシャルネットワークは当分の間、ユーザーについての最も豊かなデータベースを手にするために争い続けるだろう。ソーシャルに注力する企業の1社がすべてのソーシャル企業の上に居座ろうとしても、うまくいくはずがない。
それでは、大企業ならば可能なのか。Palmはユーザーネットワークの統合のようなものを試みたが、同社はHewlett-Packard(HP)による買収によって姿を消した。Appleならば、同様の戦略が可能だろう。しかし、Arkが独立事業として長期にわたりうまくやれるかどうかは分からない。
なぜなら、FacebookやTwitter、Googleなどが自らのデータセットのクロールをArkのような企業にいつまで許すのかは、保証されていないからだ。Arkの狙いはソーシャルネットワークを共有化することであり、現在それらのソーシャルネットワークが取り組んでいる方法と衝突するように思える。さらに、Arkは非常に便利なように見えるが、「Girls Around Me」のような人をつけまわす機能を提供することに対しては警戒の声が上がるだろう。
ただ、結局のところArkはユーザーにとって便利な機能であり、筆者の考えでは、ソーシャルネットワーク自体にとっても都合のいいものである。Arkを使用すれば、習慣的にFacebookを利用しているユーザーを適宜LinkedInのレコードの中に入れたり、その逆を実行したりできるだろう。また、Arkによって、それぞれのソーシャルネットワークがより個性的になるかもしれない。集中することに悪いところなど全くない。Arkはソーシャルネットワークを拡大させて、すべてのユーザーに利益をもたらすだろう。ネットワークの運営者がそれを許すかどうかは怪しいが、そうなることを期待している。
なお、サイト横断型の便利なパーソナル検索エンジン「Greplin」も参照してほしい。筆者が以前から使用している、お勧めの検索エンジンだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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