FacebookのユーザーとFacebookのプライバシーポリシーとの関係は、時に困難な時期を迎えたこともあった。だが専門家たちはFacebookによる新規株式公開(IPO)後の世界について、不吉な予想をしてはいない。
「IPOによる最大の変化は、売り上げへのプレッシャーが常に存在することだ」と述べるのは、Center for Democracy and Technology(CDT)の消費者プライバシー担当ディレクターであるJustin Brookman氏だ。過去にFacebookを批判してきたプライバシー団体に属するほかのアナリストたちも、Brookman氏の意見に同調している。そのような売り上げを重要視する姿勢が、Facebookによるユーザープライバシーへの取り組み方にどう影響するかは明らかではない。
アメリカ自由人権協会(ACLU)北カリフォルニア支部の技術および人権擁護政策担当弁護士であるChris Conley氏は、「最近のプライバシーポリシー改訂で加えられた変更点の多くは、語義に関することや明確化であり、これはFacebookの取り組みをより良く反映している点で好ましい。Facebookが株式を公開し、上場企業になったという事実は、信頼性を高めるものとなる」と述べている。さらに同氏は、「Facebookはユーザーの信頼を裏切らないようにしなければならない」、さもないと収入を失う危険があるとしている。
国際プライバシープロフェッショナル協会(IAPP)のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)のTrevor Hughes氏は、人々をFacebookにとどめておくために必要な信頼レベルを維持するという課題は、未知の領域に進みつつある同社にとっては容易な道のりではないと説明する。IAPPは、ニューハンプシャー州を本拠とし、自らを世界最大のプライバシー団体と称するグループだ。世界70カ国に1万500人超の会員がいるという。
「Facebookが間違ったことをしているというのではない。しかし、ソーシャルメディアは情報経済の中心であり、Facebookはデータの共有がすべてだ。それはユーザーを楽しませ、われわれはソーシャルメディアプラットフォームの熱心なユーザーになっているが、ソーシャル活動でのわれわれの規範が試されている」(Hughes氏)
理由の1つは、人々が何を共有したいかについてのFacebookの予想が変化してきたことだ。AbineのオンラインプライバシーアナリストであるSarah A. Downey氏は、「2004年に前提となっていたのは、人々は非公開の状態を望んでおり、必要に応じて公開設定にするというものだった。現在では、Facebookはすべてのアクティビティが公開されると仮定している」と語る。
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