iPhone危機脱し営業利益1兆円目指す--ソフトバンク、最弱点克服へ

 ソフトバンクは4月26日、2012年3月期(2011年4月~2012年3月)連結決算を発表した。営業収益(売上高)は前年同期比6.6%増の3兆2024億3500万円、営業利益は同7.3%増の6752億8300万円、経常利益は同10.2%増の5736億5100万円、純利益は同65.4%増の3137億5200万円となった。

  • 連結業績の概要

 売上高は2期連続、営業利益は7期連続で過去最高を記録しており、営業利益率は21.1%でKDDIの13.4%、NTTドコモの20.5%(予想)を超えてナンバーワンになったとした。EBITDA(税引き前利益に特別損益や支払利息、減価償却費を加えたもの)は1兆円を突破し、KDDIを上回ったという。

  • ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏

 ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、「見せかけのものではなく、(電波の問題など)言い訳抜きでサステナブル──持続可能な収益モデルができたと考えている。ユーザー数が少ないにもかかわらず、利益率が高いというのは経営として誇れる」と自信を見せる。

 2012年度は、連結営業利益を7000億円を確実に上回ることを目標とする。孫氏は、「増収増益には完全なる自信がある。それに加えて中期的な目標として連結営業利益で2016年度に1兆円にし、今日現在のドコモの営業利益を確実に上回りたい。これまで公言して下回ったことがないと自負している。ただの言いっ放しではなく、何としても実現させるという強い決意」と語った。

  • 営業利益は7年連続最高益

  • 営業利益率でソフトバンクが首位に立ったという

  • 純利益でもKDDIを逆転

  • EBITDAでKDDIを逆転

  • キャッシュフローの状況

「モバイル事業を開始して以来、最大の山場」--KDDIのiPhone発売で

 厳しい業績が続く企業が多い中で、勢いを見せるソフトバンクだが、「大震災があって日本中が困難に陥ったが、ソフトバンクとしてはモバイル事業を開始して以来、最大の山場を迎えた」とこの1年を振り返る。

 ソフトバンクモバイルは、これまで国内で独占的にiPhoneを展開してきたが、2011年10月にKDDIからも販売された。「どう転ぶかで、経営に大きなインパクトを与える状況だった。ソフトバンクモバイルのユーザーは3000万弱。その中で数十パーセント、かなりのお客様がiPhoneのユーザー。解約が100万人出るのか200万人出るのか。最悪のシナリオを想定し、どうプロテクトするか。電波がつながらないというお叱りを受けていたので、本当に心配した」と明かした。

 対策のための議論をし、基地局の増加、販売店員のスキル強化などを行ったほか、さらに400億円を投じてキャンペーンを打つなどの努力をしたという。「結果、フタを開けてみると、MNPでiPhoneのユーザーが乗り換えた人数は、数万の下の方というレベルで済んだ。99%はそのまま死守でき、覚悟していた状況からすれば、想定した中では最高にいい結果に終わった。いろいろな問題もあったけれども乗り越え、言い訳抜きで増収増益ができたことは喜ばしい。新年度も過去1年間で獲得したユーザーから、安定的な収益が得られる」と語った。

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