米ホワイトハウスは米国時間4月25日、正式な拒否権の発動を警告することにより、サイバーセキュリティ関連の監視法案に反対する姿勢を強めた。
ホワイトハウスの行政管理予算局は新たに発表した声明の中で、サイバーセキュリティ法案「Cyber Intelligence Sharing and Protection Act(CISPA)」が米国民のプライバシーを脅かし、民間企業を法的責任から不適切に保護するものだと述べた。
同声明は、米国家安全保障局に大きな権限を与えすぎることにより、CISPAが行き過ぎた法律になると示唆している。
H.R. 3523は米国内のサイバーセキュリティを情報活動として効果的に扱っており、それゆえにインターネットやサイバー空間を市民の領域として扱うための長期にわたる取り組みから大きく逸脱している。米国政府は、市民機関としての国土安全保障省が米国内のサイバーセキュリティにおいて中心的役割を果たさなければならないと確信している。これには、民間部門や民間部門専門の連邦機関とのサイバーセキュリティ情報のやりとりを実施し、監視することが含まれている。
米国民は政府に対し、自らのプライバシーと市民的自由を損なうことなく、セキュリティを強化するよう期待している。明確な法的保護や独立した監視の伴わない情報共有立法は、基本的なプライバシー、機密性、市民的自由、消費者保護を弱体化させ、米国政府に対する国民の信頼のみならず、インターネットに対する信頼をも揺るがすことになる。2011年5月に提出された政府法案では、独立したプライバシー・市民的自由監視会議(Privacy and Civil Liberties Oversight Board)による明確なプライバシー保護と強力な監視による情報共有を規定している。
インターネットユーザー80万人近くの署名を集めた嘆願書を含め、CISPAのプライバシー問題をめぐる最近の抗議行動の引き金となったのは、インターネット企業がサイバーセキュリティの保護を目的に自社のネットワークと顧客データベースを米連邦政府に公開できるようにするという同法案の一部分である。
CISPAの中でおそらく最も論争の的となっている条項は、「その他のいかなる法規定にもかかわらず」、企業は国土安全保障省、IRS(米国税庁)、国家安全保障局と情報を共有することができるとしている。CISPA法案の立案者は、この「〜にもかかわらず」という文言を含めることで、盗聴、学歴、医療プライバシーといった情報の取り扱いを規定する法律を含む、あらゆる既存の連邦法や州法をしのぐ法律の制定を意図している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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