すべて日本版Convertible Notes、つまり転換社債にしています。最初から株式で出資すると、バリュエーション(企業価値、評価)次第では我々が出す500万円で起業家のシェアを余計に取りかねない。Convertible Notesの最大の利点は次回のファイナンスまでバリュエーション決定を先送りできることなんです。
資本政策は後戻りできないという性質のものです。創業直後はまだサービスも立ち上がっていなくて、バリュエーションは非常に難しい。かといって起業家のシェアに配慮して高く設定した結果、次回ファイナンスでそのバリュエーション以下に評価され、いきなりマイナスになってしまうこともありえます。
Convertible Notesは昔からある手法ですが、「次回ファイナンスまでバリュエーションを固定しない」というメリットを上手く活用する方法がシリコンバレーでも一般的になっています。条件に次回調達金額や転換条件のバリュエーションキャップを設定するので、起業家に適度な緊張感をもって目標にしてもらうことも可能というメリットもあります。
まず誤解のないように言いたいのですが、そもそも資金調達って簡単なものじゃないんです。銀行から500万円を借り入れようと思っていても、誰でも簡単に貸してもらえるという訳ではありません。そもそも500万円って働いて返せない金額ではないので、「Convertible Notesは借金じゃないか」という議論よりも、資本に近い形で調達できることのほうが意味があると思います。
スタートアップ直後にConvertible Notesを使う理由は「返せ」って言いたいから使う訳ではなくて、これまでに話したようなメリットが大きいから活用しているんです。その上でもし事業がスクラップしてしまった場合は、たとえば別のチームに参加してもらうなど、そのチームとよく話し合って決めることになるでしょうね。
Y Combinatorも比較的早い段階で育成したスタートアップが成長し、バイアウトや高いバリュエーションでの調達といった実績を作ることで、次のスタートアップを呼び込むことに成功しました。
我々もそういった形になっていくことを狙っています。お金を回していくというのは非常に重要なので、先ほどもお話ししたように株式をずっと保有し続けるのではなく、役割を果たして、自分達の次を担ってくれる投資家のチャンスをどんどん増やしていく。そうやって数をこなすことでエコシステムが見えてくると思っています。
スクールをやって見えてきたものがありますね。毎週起業家が会ってると切磋琢磨するんです。こういう状況をどんどん作り出したいので、ずっとスクールをやってる状態にしたいなと。スクールというプログラムをやりながら、第2期のデモデイを実施する。同時にアジア圏についても私が中心になって種まきを開始する感じでしょうか。その一環として東京以外の国内いろんな地域を最近回り始めています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手