インキュベーターやシードアクセラレーターが支援企業のプレゼンテーションの場を設ける「デモデイ」。前回紹介したサムライインキュベートに続き、2月22日に開催されたMOVIDA JAPANのデモデイの様子についてお伝えする。
MOVIDA JAPANは孫泰蔵氏が代表としてけん引役を務めるシードアクセラレーター。“アジアにシリコンバレー並みのエコシステムを作る”という大きなビジョンを掲げて2011年にスタートしている。今回のデモデイは第1期生のお披露目となる。
シードアクセラレーションプログラムを推進するMOVIDA JAPANの伊藤健吾氏に応募者について聞くと、その多くがウェブ、モバイル系のサービスで、逆に今市場が盛り上がりを見せるソーシャルゲームなどの分野は少なかったそうだ。ハード、テクノロジー系も少ないそうだ。
起業家の傾向についてはやはりサムライインキュベート同様、学生から直接起業しているような若い世代が目立つ。逆に「経験ある人の応募内容には魅力を感じられるものが少なく、実際に会っても同様の物足りなさがあった」(伊藤氏)という話で、経験が邪魔をして、若手の「怖いもの知らず」な勢いに負けてしまっている状況があったのだという。全体的にグローバルな視点を持っている人が多かったのも特徴的だったそう。
デモデイが終われば支援はどうなるのだろうか。伊藤氏も本質的にはサービスをユーザーに浸透させることが大切で、そのために必要なプロモーション支援や事業パートナーの紹介などは行うとしつつも「プログラムで学んだことがあるので過保護にならないように」サポートするという。第1期は募集期間を設定していたが、次回以降の募集については常時採択することも検討中だそうだ。以下にデモデイに参加した7チームについて紹介する。
未公開サービス。ユーザーの歌声をソーシャルで共有するiPhoneアプリ。ユーザーはアプリのマイクに向かって歌声をレコーディングしてアップロードできる。気に入った歌声を友人と共有するだけでなく、自分の歌声を重ねることで新しい音を作りだす。たとえば世界中のユーザーと一緒に「We are the world」を歌う、といったような世界観を作り出すことができる。
2011年4月からテストを開始したGrow!は「ソーシャルチップ」をコンセプトに、クリエイティブなコンテンツを提供する人たちに対して、購読ユーザーが「Grow!ボタン」を通じて少額のチップを支払える仕組みを提供。コンテンツ提供側がサイトを持っていない場合には彼らが提供するプロフィールページを通じてユーザーに支援を求めることもできる。2012年1月時点でのユーザー数は3500人ほどで、ボタンが設置されているサイトの総ページ数は360万ページになる。
コンテンツ制作者の支援プラットフォーム「Grow!」が正式サービスイン
trippieceは旅行をしたいユーザー自身が旅行プランを作成し、同じような旅をしたいというユーザーを見つけることで旅行を実現するというサービス。Facebookアカウントの利用を前提にしており、旅のプランに共感して一緒にいきたい、と思ったユーザー同士で詳細のプランや日程、料金などの内容をコミュニケーションして決定する。2012年1月時点でユーザー数は5000人ほど、これまでに30ほどの旅行プランが成立している。
共感したユーザー同士で旅行を計画する「trippiece」--MOVIDAが500万円を出資
未公開サービス。お取り寄せに特化したソーシャルコマースを提案するiemog(イエモグ)はFacebook上の友人とお取り寄せしたい商品をマッチングし、一緒に購入して一カ所に送付することで送料を安く抑えることができる。共同お取り寄せを実施するために必要なメンバーや場所、日程などを調整することもできるようになっている。ビジネスモデルは出店料や手数料が検討されている。
未公開サービス。ハンドメイドクラフトやデザインなどのクリエイティブ作品をオンラインギャラリーに載せて公開できるスマートフォンアプリ。短時間で見栄えのよいギャラリーを作成できるのが特徴。
未公開サービス。友人と一緒に食事を楽しむためのスマートフォンアプリ。シンプルなUIが特徴的で、Facebookアカウントでログイン後、画面に大きく配置されたボタンをタップすると友人が表示される。テキストのメッセージが送れるようになっているので、「一緒にゴハン食べる?」などのメッセージを送ってコミュニケーションをとる。食事関連のサービスは急増しているが、提供する機能を絞って、同等サービスとの差別化を計っている。
参加各社で唯一ハードウェアを手がけるスタートアップ。同社が開発するType Xは、ちょうど1人が乗って移動できるA4サイズの電気自動車。重さも2kg以内になる予定で、持ち歩いての利用を想定する。たとえば前に移動したい場合は重心を前にかければ前進、といったように、体重移動で操縦できる。彼らが「インターネット電気自動車」とうたう通り、内部には3G回線を備えており、外部アプリケーションとの連携も想定されている。販売方法もユニークで、回線を備えていることから通信キャリアを通じての分割支払いを検討しているという。
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