ダイナミズムと共感覚性が増したシリーズ最新作--「ルミネス エレクトロニックシンフォニー」水口哲也氏と開発ディレクターにインタビュー - (page 2)

--ちなみに今回ユービーアイから発売されるのは「Child Of Eden」の関係からですか?

水口氏:「ルミネス」が一番売れているのはアメリカなんですけど、ユービーアイがアメリカとヨーロッパのパブリッシャーをやっていました。それですごく成功していたからという背景があった上で、「Child Of Eden」でユービーアイとの信頼関係が高い状態にあったので、自然な感じで一緒にやりましょうという感じです。

--開発はいつ頃からスタートしましたか?

水口氏:去年の3月ぐらいかな? 1年前ですね。

--開発を始めるにあたり、最初にスタッフに話したコンセプトやメッセージはどんなものでしたか?

ディン氏:たしか「エレクトロニック・シンフォニー」でした。

水口氏:「エレクトロニック・シンフォニー」というのはパッと聞くと英語だらけなので、日本の方には直感的には聞こえないと思うのですが、世界中で使えるタイトルにしています。今回世界中から34アーティストを集めたんですけど、電子音楽的に成功しているアーティストや曲にスポットライトがあたっている方を軸にしているのはあります。でも電子音楽が好きじゃないの遊べないとかそんなことはないわけで、遊んでみると「どこが電子音楽なの?」とわからないぐらい、エモーショナルな曲が多いと思います。

--これだけアーティストがいて、曲のテイストも多岐に渡っていると全体を想像した上で人選をすることが苦労されたように思いますが。

水口氏:そのあたりはジェームス・ミルキーが一番力を入れたところだと思います。僕らとしては「ルミネス」は世界基準のゲームと思っていて、仮にタイトルや楽曲アーティストは知らなくてもやってみたらすごく面白くてファンになってしまうぐらいの要素が無いとダメだと思うんです。でも選曲するのって楽しいです。映画のシナリオと考えるのと同じ感覚で、どういう気分でどういう感情のカーブを作っていくのかを、曲とゲームデザインと密接に絡んできます。

ディン氏:曲のテンポとブロックが落ちてくるスピードがマッチしていないと気持ち良くならないですからね。

水口氏:「ここはあの曲が良いよね」「ここはしっとりとした曲で落としたい」とか。ゲームってゲームデザインやレベルデザインと、その上に載っかっているアート的なものとのかけ算なんです。アート的なものが感情を揺さぶるという。僕はゲームを作ること自体、芸術の域に来たなと思っています。

--ダウンロードコンテンツなどの予定はいかがでしょうか?

水口氏:今は検討中…という回答にさせてください。

--nearを利用した機能がありますが、具体的に説明をしていいただけますでしょうか?

ディン氏:ゲームのどのモードを遊んでも経験値がもらえます。経験値を貯めるとレベルが上がるんですけど、そこでエクストラコンテンツというスキンやアバターがひとつ解放されます。そのコンテンツはほかのユーザーと、nearやアドホック通信で送受信することができます。アンロックされているものでも受け取ることは可能です。

--PS Vitaが出ることによって「ルミネス」を新しくしたいと話されていましたが、具体的にどのよう思ったのでしょうか?

水口氏:僕らはなんだかんだ言って、ハードの進化からくるインスピレーションというのは絶大なもので、くすぐられるんです。クリエイターとして腕をふるいたいと思うんですよね。この技術を提示されたら「何をやってみようかな」「何を作ってみようかな」と瞬時に考えてしまいますから。それにビデオゲームは常にテクノロジーと密接にかかわってます。PS Vitaに関しては、PSPよりもいろんなところがアップデートされていますしソーシャルマシンとしての一面もあります。そこで何ができるか…と考えるのがありますよね。

--今回の「ルミネス」に込めたメッセージみたいなものはありますか?

水口氏:「Child of Eden」もそうだし、初めの「ルミネス」も今回の「ルミネス」もそうなんですけど、結果的に大きなストーリーを作っているんですよね。そのストーリーがなんとなくメッセージになっているんです。

 「Child of Eden」ではストーリーを色濃くやっていて、エデンという未来のアーカイブがウィルスに冒されて、それを自分が浄化していく中で、昔から代々蓄積されてきた地球の記憶とか人間の記憶や営みというものが、少しずつ効果音やエフェクトと共に再生されて音楽化していくという。その延長線上に考えると、ルミという初めて地球の外で生まれた女の子が地球の記憶と共に封印されていて、記憶と一緒に出てくるというものになったんです。

 そういう化学反応って、作っていて新しいことをしている気持ちになれるんです。単に映画を見るだけではなく、ゲームを遊ぶだけではなく、音楽を聴くだけではなく、全部が融合していて誰もやっていない感じのところにいるような気がしています。

 それは「ルミネス」でさえも、最後のエンディングまで遊んでくれた人の中には「泣きました」って言ってくれる人もいるんです。達成感で泣いたのか、最後にあったストーリー性でグッと来たのかわからないですけど、僕はそのミックスだと思っています。まだまだやれることや、やりたいことはありますよね。ゲームってまだまだ可能性があると思いますね。

--最後にメッセージをお願いいたします。

ディン氏:今回の「ルミネス」は、初心者から楽しめる仕組みになっています。今まで遊んでいなかったユーザーさんにとってPS Vita版「ルミネス」はオススメできます。

水口氏:正直なことを言うと、今まで自分が関わってきたゲームのなかで、今回の「ルミネス」が遊んでいて一番楽しいんです。誤解を受けてしまうのかもしれませんが、今回は彼らをすごく信頼してまかせて、本当にいいものができたんです。自分ががっつりと関わって苦労して、隅々まで知っていると楽しめなくなってしまうところもあるんです。作り上がったときにはヘトヘトになってしまいますし、意外とやり続けられなくなってしまうものなんです。でもこれはすごく楽しんで遊べてますし、よくできていると思います。どんな世代の人でもどんな国の人でも、昔からのファンの人も今回から始める人も均等に遊べますので、すごくオススメします。自分が関わったタイトルの中でも一番オススメしたいですし、損はさせないです。PS Vita持っているなら絶対買って下さいと言いたいです。

【ルミネス エレクトロニックシンフォニー】

ジャンル:音楽パズル
発売日:2012年4月19日発売予定
対応機種::PS Vita
価格:パッケージ版3990円(税込) ダウンロード版3300円(税込)
CERO:A(全年齢対象)

「ルミネス エレクトロニックシンフォニー」公式サイト
http://www.ubisoft.co.jp/lumines-es/

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