サムスン電子ジャパンは3月28日、国内でもスマートフォン「GALAXY Note(SC-05D)」を発売すると発表した。GALAXY Noteは2011年10月からグローバルで販売が開始されており、販売台数は3月末にはワールドワイドで500万台を超えるという。
ロンドンを皮切りに、ジャカルタ、上海、ソウル、ドバイで発表し、最後に投入されるのが日本だ。日本が最後となった理由について、サムスン電子 常務で商品企画を担当するキム ジョン イン氏は「日本独自のキャリアサービスなどカスタマイゼーションがあり、日本のキャリアは他の国よりも開発期間が長いということも影響があった。LTEに対応したことも少しは関係する。LTEの機種は、テスト期間も必要だ」と明かした。
世界で販売する中でも、韓国におけるGALAXY Noteの販売状況は好調だ。韓国では、平均すると1日あたり7万台の携帯電話を販売しているという。7万台のうち6万台がスマートフォンで、半数の3万台がLTEに対応する機種だという。さらに、その中で1万5000台がGALAXY Noteだとした。
これは、予想を上回る数字という。「1万2000台まではいくと思っていたが、1万5000台までいった。韓国はアーリーアダプターのお客様が多く、大きなものが好きなお客様が多い。だから冷蔵庫も大きい(笑)。高い製品なので、学生は無理かなという思いもあったが、予想以上の売れ行き」(キム ジョン イン氏)と話す。
GALAXY Noteのマーケティングでは、まず体験してもらうことを重視し、世界各地で似顔絵を描くイベントを開催。功を奏してか、大きさから手になじまないのではないかと見られがちな女性層にも人気があるという。中でも韓国では、GALAXY Noteを使うと通話したときに、顔が小さく見えるとして、支持されている面もあると話す。
国内の発表から一夜明けた今、画面サイズについては賛否両論の声がある。これは海外でも同様で、「画面が大きいという評価もある」とする。しかし、同氏は「人間は慣れの動物なので、今のサイズあるいは大きいサイズ以下のものには戻れない」と自信を見せた。
このように自信を見せる理由の1つに同社による調査結果があるという。次の製品を買うときに選ぶのは、「現在使っている画面サイズより、大きいか小さいか」という問いに対し、GALAXY Note(5.3インチ)のユーザーの50%がこのサイズがちょうどいいとし、より大きなものを求めるユーザーは20%だったとした。これは、他のGALAXYシリーズや他社製品よりも満足度が高いという。
サムスン電子 Insight Marketing 課長のキム アルム氏は、「画面が大きければいいということではなく、スマートフォンとしてのサイズ感が大事。電話をするときなど利用シーンを考えた上で、画面サイズとバランスのいいサイズが5.3インチとわかった。キーボード入力は、女性などの場合、確かに親指が端までとどかないことがある。だから片手で操作できるようにキーボードを端に寄せられる設定も付けた」とし、スマートフォンとしての携帯性を考えた上で、見やすさと使いやすさのバランスをとったと語った。
GALAXY Note以外にも、5インチ台の大画面を採用したスマートフォンはある。これに関し、「5インチレベルの曖昧なサイズは過去に何機種かはあった。そのデバイスたちが失敗した理由として、コンテンツ、バリューをお客様に与えられなかったことが指摘されている。ある程度のポータビリティを持ちながら、バリューがないと成功できない」(キム ジョン イン氏)とした。
同社が言うバリューの1つは「S Pen」と呼ばれる128段階の筆圧を感知するタッチペンを付加したことだ。
タッチペンといえば、同社はこれまでにも2009年にソフトバンクモバイルから3.5インチ有機ELを搭載した「OMNIA VISION SoftBank 940SC」で採用している。これについてキム ジョン イン氏は「感圧式でやったが、苦しかった」と振り返る。今回は静電式で、ワコムと開発したものを採用している。
「デジタルペンの世界では、ワコムはシェアが一番高い会社。グラフィック作業などにはかなりのブランド力がある」とワコムの技術を採用した理由を語った。
GALAXY Noteは、指とペンの操作が自然にできるよう開発しているという。「たとえば、日常でモノを触ったり動かしたりするのは手が自然で、細かい操作はペンなどのツール。スマートフォンも同様に、一般操作は指だが細かいときはペンを使うという使い方」(キム アルム氏)と話す。
「ケータイにペンがついているといわれたとき、思い浮かぶのは絵を描くことかもしれない。でも日常で絵を描くことはあまりない。絵を描くことだけでなく、ミーティングの内容を記録したり、必要な情報を集めてコメントを書いて、メモ帳のように使える。最初にデザイナーに受けがいいというのはあるかもれないが、ビジネスマンも活用できる」(キム アルム氏)とプライベートにもビジネスにも活用できるとアピールする。
実際、サムスンでは一定の役職以上にはGALAXY Noteが与えられているという。この製品の登場により、サムスン内でも手帳を持たずに会議に入る人が増えるなど変化があるのだという。
キム ジョン イン氏によれば、「社内で会議するとき、ノートPCを持って会議に入ることが多いのではないか。それがGALAXY Noteによって情報の流れやスピード感が速くなった。反面、コンフィデンシャル(機密)の問題もあるので、そこに関しては工夫している」。
さらに、今後はタブレットにもこのS Penを採用していく考えがあるという。「ワコムのソリューションが製品とうまく合っている。(GALAXY Noteの)成功が確信されてから、タブレットにもこのソリューションをいれたほうがいいという声もある」とした。
一方で、まだS Penに十分満足しているわけではないようだ。「今悩んでいるのはペンのサイズが小さいから、手に力がはいってしまう。アクセサリ、デザインチームにも宿題を与えている。ペンに消しゴム機能を付けるなど、ペンには課題も多い」(キム ジョン イン氏)としている。
S Penや大画面も、活用できるアプリケーションがあってこそ生かせる。同社は、このペンを活用するためのアプリ開発にも力を入れている。GALAXY Note内には、「S Choice」というGALAXY Noteの特化アプリをダウンロードできる独自マーケットがプリインストールされている。「日本に特化したアプリも増やしていく」としており、GALAXY Noteの発表当日には開発者向けの「Samsung Developer Day 2012 in Tokyo」も開催している。
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