エンジニアの“空き枠”を可視化する「クラウドワークス」--時給制で差別化

 クラウドワークスは3月21日、クリエイター向けのクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」のクローズドベータ版を公開した。同社は2011年12月に、サイバーエージェント・ベンチャーズおよび個人投資家を割当先とする第三者割当増資を実施しており、発注企業およびエンジニア・クリエイターの事前登録を受け付けていた。

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 クラウドソーシングとは、ネット上で不特定多数の相手に仕事を委託すること。このサービスを活用することで、たとえば、録音した1時間の英会話の音声を、30分ずつ2分割してクラウドソーシングサービスで翻訳してもらう。そして出来上がった2つの翻訳文を再びクラウドソーシングサービス上で、1つのフォーマットに統合してもらうといったことが短時間で可能になる。

 クラウドワークスは、エンジニアやウェブデザイナーに特化したクラウドソーシングサービスで、非対面のまま仕事のマッチングから業務の遂行、報酬の支払いまでを一括で行うことができる。先行受付では、すでにHTML5やソーシャルゲームの開発、サイト制作・更新、電子書籍アプリやクローラー開発などの案件が登録されているという。

中長期的な雇用環境を創出する

 サービスの特徴は、時間単位で仕事の受発注ができる「時給制」と、プロジェクト単位で受発注できる「固定報酬制」の2つの方式を採用していること。時給制では1時間単位で受発注ができるため、発注側はサーバ監視や定期的なコンテンツの更新、アプリメンテンナンスなどを気軽に依頼できる。


クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏

 たとえば中小企業などで、iPhoneアプリとAndroidアプリの開発スキルを持つエンジニアをそれぞれ1人ずつ雇うのは難しい場合に、iPhoneのスキルを持つエンジニアを採用し、Androidのスキルを持つエンジニアはクラウドワークス上で探して、月額数万円でメンテナンスを依頼するといったことが可能になる。

 「企業にとっては非常に低価格でメンテナンスを依頼できる。エンジニアも、複数社と契約すれば大きな収入になるため、1社の下請けという形にはならない。時給制を採用して中長期雇用を目指していくサービスという意味では、現状日本における競合はいないと思っている」--そう話すのはクラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏だ。

 吉田氏はこのサービスによって、クリエイターに中長期的な雇用環境を提供したいという。「単発でのマッチングサービスというのはたくさん存在するが、それでは実績が積み重なっていかない。クラウドワークスでは、顧問弁護士や顧問税理士に近い形でのビジネスを考えている」(吉田氏)

 また、時給制を取り入れることで、企業とクリエイターの出会いの敷居を下げることができると話す。「これまで1人のエンジニアを採用するには、履歴書を確認して、面接をして、派遣契約をする必要があった。クラウドワークスを利用すれば、仮に時給2000円のコーディング作業を5人に2時間ずつお願いしても、実際の費用は2万円しかかからない。企業は5人のスキルや会社との相性を確かめられて、そのなかで本当に良かった人に対して継続して発注できる」(吉田氏)

 クリエイターは、過去の実績や経歴、スキルなどを登録でき、発注側も相手がどういったスキルを持っているかを一目で確認できる。また、数十分単位でPC画面のスクリーンショットを送信する独自のタイムカードシステムを導入しているため、発注者はクリエイターがいつどのような仕事を行っているかを管理できる。クリエイターは信頼性を高めるために、本人情報に免許証や保険証などの身分証明証を登録することもできる。

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