サイボウズ、クラウドと海外展開を本格化--2011年度は減収増益

 サイボウズは3月21日、2012年1月期(2011年2月1日~2012年1月31日)の連結決算を発表した。売上高は前期比20.5%減の42億2500万円、営業利益は同15.4%減の6億5100万円、経常利益は同16.6%減の6億6600万円、純利益は同1.4%増の3億9700万円となった。

  • 2012年1月期の連結業績

 グループの再編にともない、連結子会社であるユミルリンクの全株式を譲渡したことから減収となった。また利益面では、連結子会社が減少したことで売上原価や人件費、のれん償却額などが減少したものの、新製品の宣伝活動にともない広告宣伝費が増加したことから、営業利益および経常利益は減少した。東日本大震災への寄付金として5000万円を特別損失として計上したが、関連会社株式売却益を特別利益として計上したことから純利益は増加している。

 これまでパッケージ製品の販売が中心だったサイボウズだが、2011年は企業向けのクラウドサービスを本格的に開始。クライアント証明書を用いたログイン認証や、顧客ごとの専用ログインURLによって高いセキュリティ性を担保したクラウド基盤「cybozu.com」の提供を開始したほか、cybozu.com上で手軽に業務アプリを構築できるPaaS「kintone」も開始した。cybozu.comは、2012年3月時点で約500社に導入されているという。

  • サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏

 サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は、スマートデバイスがPCに置き換わりつつあることや、音楽ダウンロードや電子書籍の普及、Facebookやソーシャルゲームの急成長などを例に挙げつつ、「クラウドという言葉はビジネスソフトの範疇ではなく、いまでは社会を動かしている」と語る。今後はさらにこの流れが加速していくとし、現在サイボウズ製品を導入している3万8000社の約400万ユーザーをクラウドへ移行させていきたいとした。

 サイボウズがクラウド事業とともに力を注いでいるのが海外展開だ。2011年4月には米国に現地法人「Cybozu Corporation」を設立。6月には、Microsoft SharePoint Server 2010に対応するグループウェア「Cybozu SP Apps 2010」を日米で同時にリリースした。また9月には、SYSCOM(USA)とともに、米国の日系企業向けにクラウド型グループウェア「Cybozu Garoon SaaS on clavis」の提供を開始している。

 サイボウズは2001年に米国に現地法人を立ち上げたが、2005年に撤退した経験がある。青野氏はcybozu.comで「海外でもう一度頑張りたい」とコメント。クラウドによって10年前よりもローコストかつ効率的に事業展開できるとした。「これまで米国に進出するとなるとサポートも含めて現地で同じ分だけ動かなければいけなかったが、クラウドであればシステムをすべて東京でコントロールできる」(青野氏)。

 また、cybozu.comの技術レベルについてもシリコンバレーの企業と十分対抗できるレベルだと自信を見せた。

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