一国で機会格差は埋められない、ともに東北の再建を--米MSのクルトワ氏 - (page 2)

 マイアミ市のIT担当部局は毎年人的あるいは予算的な削減を余儀なくされるなか、市民はオンラインでのサービスをさらに求めるようになった。そこで、311非緊急時電話回線というサービスが提供された。たとえば、道に穴が開いていた、あるいは不法投棄が行われたという問題を、市民が記録して追跡できるようしにた。サービス要請番号がこの回線から発行されるので、問題解決の進捗状況を確認できるようになっている。

 マイアミでは、非常に破壊的なハリケーンが多い。ハリケーンが集中する季節はわかっているが、いつ嵐が起こるかは予測できない。マイアミ市のIT部局は、災害時に十分なサーバで復旧対応をするために、どうしても大量にサーバを保有する必要に迫られた。だが、それほど需要がない時期にはサーバの稼働率が下がってしまう。

 しかし、「いまやクラウド型のプラットフォームがあるので、マイアミ市は安心して災害対応の能力を拡充すると同時に、自前の不要サーバを排除することができるため、歳出の削減が可能になった」(Courtois氏)

 この事実は、クラウドコンピューティングの二つの利点を示しているとCourtois氏は指摘する。まず、IT資源を必要なときに、必要な分だけ使用でき、費用はその分だけ支払えばよい。第2に、危機発生時、インフラの規模拡大ができなくて、サービスが提供できないのではないかという心配はなくなる。

社会の幅広い連携で機会格差を埋めよう

 Courtois氏は「おそらくクラウドの大きな潜在性として、雇用創出があると確信している」と述べる。最近のIDC調査によれば、クラウドにより1400万件の新規雇用が世界的に2015年までに創出されるという。それは「ITのみならず、さまざまな業種、分野にまたがる。そのうち26万2700件は日本での雇用になる。そしてさまざまな企業、業界業種をまたがっての雇用創出」(Courtois氏)となる。

 「我々は皆さんとともにクラウド技術を推進し、企業としてはクラウドの利点や優位性を学んでもらえるのではないか。技術にアクセスし、ICTのスキル開発する。国民も政府も、それによって世界的市場での成長が促進されることなるだろう」(Courtois氏)

 いま、世界各国で機会格差が生じている。教育や技能の獲得にアクセスできる人とできない人の差がある。そして、技能を獲得できた人々は機会を与えられ繁栄する。一方、技能を手に入れられず、技能を身につける機会に恵まれない人々もいる。

 Courtois氏は、2020年にはすべての職種の3分の2が現在存在していない職種で占められるというマッキンゼーの調査を引用し、「つまり(これからも)新しいスキルを必要とする人々が必ずいる。この機会格差を埋めるように、若者の未来のため、世界経済の未来のため、我々は協力して行動すべきだ。一国で、ひとつの経済で、一組織、一政府で機会格差を埋めることはできない。我々は決意を持って、ともに東北を再建し、日本の経済回復を支え、日本のイノベーションを進めるために、皆さんと手を携えて歩いていくことを望んでいる」と述べ、講演を終えた。

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