ICT総研は3月7日、NTTドコモ、KDDIグループのUQコミュニケーションズ、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの通信事業者4社の新世代高速データ通信を対象に実施した電波状況実測調査の結果を発表した。
調査結果を事業者別に見ると、ソフトバンクモバイルが2月24日に開始した2.5GHz帯を使った新サービス「SoftBank 4G」の圧倒的な通信速度が目立ったという。多数の地点で下り通信速度10Mbps以上が計測され、特に都心の駅ホーム上では25Mbps以上を記録した。全計測地点の下り平均速度は昼8.55Mbps、夜5.29Mbpsで、他3社の平均(昼3.39Mbps、夜1.95Mbps)と比べると昼は2.5倍、夜は2.7倍となったとしている。
サービス開始直後で利用者数が少ないことも影響しているが、下り最大速度76Mbpsという他サービスを大きく引き離す理論値に準じた順当な速度差となった。少なくとも東名阪ではサービス開始当初からエリアカバー率が高いことも実証されたと分析している。
UQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」は、上り平均速度では昼2.39Mbps、夜1.96Mbpsを記録した。上りの理論値が最大速度15Mbpsとトップであることを反映した結果という。動画視聴待機時間は昼3.25秒、夜3.72秒と最短だった。一方、下り通信速度では測定地点で10Mbps以上を計測することもあったが、全体的に建物内部や障害物に弱い傾向があり、大規模駅の構内などの計測結果が芳しくなく、SoftBank 4Gに差をつけられたという。
NTTドコモの「Xi」は、下り速度ではしばしば10Mbps以上を記録したが、同じ測定地点(駅)でも場所を変えると途端に速度が低下するなど、平均速度では今ひとつと説明している。Xiエリア外では自動的にFOMAハイスピードのサービスが利用でき、カバーエリアが広いため、速度にこだわらなければ実用面で大きく不便を感じることはないとみられるとしている。
イー・アクセスの「EMOBILE G4」は、一定の平均速度は堅持したが、全体的には他社サービスと比べてふるわないと分析。特に上り平均速度では、昼でも4社中唯一平均1Mbpsに届かず苦戦を強いられたと説明する。一方で、昼と夜の下り速度差が最も小さく、時間帯にかかわらず速度が安定していたという。
地域別に見ると、昼の通信速度は首都圏と名阪で大きく変わらないが、回線がより多く利用される夜の時間帯では、首都圏よりも名阪の速度がより速い結果となった。名阪は回線混雑時間帯でも、首都圏に比べてネットワークに余裕があり、通信環境が安定しているようだ。
今回の調査では、2011年5月に実施した同様の調査と比較して通信速度が全体的に大きく向上している。データ通信サービス自体の理論上速度の向上、各社のネットワーク品質強化への取り組みの成果によるものとみられるという。
2011年10月に実施したスマートフォンの3G回線電波状況調査では、回線が混雑する夜の動画視聴接続成功率は80%前後だったが、今回の調査では100%接続に成功した。現時点では3G回線と比較してネットワークがひっ迫していないようだとしている。
調査は2月27日~3月2日に4社の新世代高速データ通信対応機種を対象に、首都圏の鉄道駅18地点、名阪の鉄道駅8地点の合計26地点で、それぞれ昼と夜にデータ通信の速度や動画視聴待機時間を実測した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」