スペイン、バルセロナ発--Googleの会長を務めるEric Schmidt氏は、技術によって弾圧的な独裁者は存在しにくくなるが、それでも検閲によって、一部の人々を世界経済の情勢から遠ざける「デジタルカースト制度」が築き上げられる可能性があると考えている。
Schmidt氏は、スペインのバルセロナで開催されている展示会Mobile World Congressでの講演で、検閲が蔓延している地域から情報が水のように漏れ出るのを防ぐことはできないと述べた。メッシュ型ネットワーク(中央のインターネットアクセスポイントなしで携帯電話が互いにピアツーピアで接続されるネットワーク)によって、情報はさらに迅速に漏れるようになる。
「戦争や苦難の時代には、流出した情報を無視することはできない」とSchmidt氏は述べた。シリアのBashar al-Assad大統領による「残虐な行為は、万人の目にさらされることになる。この世界において、独裁者が隠れ潜む場所はますます少なくなり、人々はますます容易に結集できるようになる。これが、『アラブの春』でわれわれが目にしたことである」(Schmidt氏)
しかしSchmidt氏は、情報が裏ルートから漏れてくることに満足していない。「積極的に検閲を実施する国は40カ国にのぼり、10年前の4カ国から増加している。Google製品は、われわれが事業を展開する125カ国のうちの25カ国で遮断されている」(Schmidt氏)。米国においてさえ「憂慮すべき」動きがあると同氏は述べた。最近採決が延期された「SOPA」および「PIPA」の法案を指していることは間違いない。
同氏は検閲活動について「ゆくゆくは失敗する」と述べたが、「われわれは今、このデジタルカースト制度の出現を阻止するために行動する必要がある」と付け加えた。
一方、世界のそれ以外の地域では、技術によって、技術に詳しく早くからそれを採用するエリート集団、より主流の中級階級の人々、そして現時点でまだインターネットに接続していない50億人の人々の間の格差が幾分埋められ、人々の生活が向上することになると同氏は予測した。
「技術は平等をもたらす。弱者に力を与え、何も持たない人々に何かを与える」と述べた同氏の言葉には、聖書を思わせる響きがあった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス