法人向けの名刺管理ソリューション「Link Knowledge」を提供する三三が2月28日、個人向けにクラウド名刺管理サービス「Eight」を公開した。
2009年に実施した同社代表取締役社長の寺田親弘氏へのインタビューでも、個人向けサービスの提供を示唆していたが、今回のサービスインまでは約3年の歳月がかかった。だがその結果、クラウド、ソーシャルメディア連携、スマートフォン対応と「このタイミングだからこそリリースできた」というサービスに仕上がった。また名刺のデータ化までを無料で行うという。新サービスリリースまでの経緯とその勝算について、寺田氏に聞いた。
Link Knowledgeについては、大きな変化は起こっていませんが、順調に伸びているという状況です。グラフで見れば一直線の伸び。導入企業は600社を超え、徐々に受け入れられている手応えはあります。企業の名刺管理に対する認知も向上してきました。現在では、大きいところで数百人規模の組織で導入されている。
Link KnowledgeはBtoBのソリューションビジネスなので、これまでCRM的な機能を中心にサービスを強化し、「名刺管理から収益を上げてもらう」ということを追求してきました。それもあって、「純粋に名刺の管理で使う」というケースと、「CRMツールとして他社サービスとも連携して使う」というケースにユーザーが二分されている状況です。また、目立たないところですが、セキュリティを強化したり、詳細な権限設定にも対応してきました。
売り上げは好調ですが、名刺の持っている可能性を考えれば満足している状況ではありません。
最初はLink Knowledgeの延長線上のサービスとして企画をしていました。2年以上模索し、3回ほどサービスを作り直し、課金についても考えてきました。ですが、企業向けのサービスと個人向けのサービスは同居できないという結論に至りました。
名刺交換や管理の面倒さを解決し、ソーシャルネットワークとして“ただの紙”以上の価値を持つものとして使うかを考えると、Link Knowledgeでは一定の成果は出ています。しかし1IDあたり月額6500円の料金は決して安くありません。それと個人のニーズは異なります。
また、最初のベータ版を作っていた2年前の夏はフィーチャーフォンとPCがメインでしたが、試行錯誤していく中で、結果としてこのタイミングでスマートフォン、ソーシャルといったキーワードが出てきました。そこで我々は、「名刺管理をやるためにソーシャルな技術を使う」ということになりました。
現実社会で交換されている名刺ですが、それこそがソーシャルグラフ。連絡先を交換するスマートフォンアプリなどもありますが、相手が持っていなければ利用できません。ですが名刺は物理的に存在するものだし、習慣として(一気にデジタルに)変えられるものではありません。であれば、紙の名刺を電子化し、ソーシャルにつなげる。そうすれば“(ソーシャルグラフ上で)更新できる名刺”ができあがると考えました。
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