薄型テレビの世界最大メーカーである韓国のサムスン電子は現地時間2月20日、赤字が続く液晶ディスプレイ部門を新会社としてスピンオフする計画が取締役会で承認されたと発表した。
新会社はSamsung Display Companyというサムスン電子の100%子会社となり、今後は事業の焦点を液晶ディスプレイ(LCD)から有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに移していくという。スピンオフの実施には株主の承認が必要だが、サムスン電子は4月1日付での新会社設立を目指しており、需要が落ち込む中で競争力を高める意向だ。
サムスン電子は、今回のスピンオフに関する声明の中で次のように述べている。「現在、ディスプレイ市場は急激な変化を遂げており、OLEDパネルが急速にLCDパネルに代わる主流となりつつある。ディスプレイ業界でこのような構造的変化が起こる中、当社のディスプレイ事業の競争力を高めるためには、事業の再構築など変化と革新に向けた方策を採ることが不可欠だ」
サムスン電子のLCD事業は、パネルの製造コストが少なくとも市場の拡大に見合うほどには下がらなかったことから、この2年ほど厳しい状態が続いている。2011年には、LCD事業の営業損失は9億ドル近くに達した。
市場調査会社DisplaySearchが1月に発表した報告書によると、世界の液晶テレビの年間売上高は2015年までに8%下落して920億ドルになるという。一方、OLEDテレビの市場は2018年までに200億ドルに達し、市場の16%を占めると予想されている。
ただし、今回のスピンオフがサムスンの子会社S-LCDにとってどのような意味合いを持つのかは不明だ。S-LCDは、ソニーが保有する株式をサムスンが9億4000万ドルで取得して1月に完全子会社化した事業で、テレビや携帯電話など家電向けのLCDパネルを製造している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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