前回ライフログガジェット「Jawbone UP(UP)」を紹介した。UPはリストバンド型のガジェットで、腕に巻いて使用するライフログ記録装置。特に昨年末の米国ホリデーシーズンで話題となった。これについて、補足しておく必要がある。UPの初回出荷分は、バッテリ関連の問題を抱えており、一旦販売が中止されている。筆者のUPについても、初回の充電はうまく行ったが、2回目以降は充電して電池がフル充電状態であっても、バッテリがないというインジケータが出て使えなくなってしまう事象が発生した。メーカーが返金または無償交換を発表し、無償交換された分については問題なく動いているようだ。
UPに限らず、最近のガジェットは非常に素早く、また小さな規模でスタートするパターンが増えてきているように思える。例えば少額投資を集めてプロジェクトを実現させるKickstarterでは、数多くのガジェットのプロジェクトが提案され、先に買い手を集めてからプロジェクトをスタートさせるパターンを見つけることができる。
例えば、Kicksterterで最も成功した事例の1つは、iPod Shuffleを腕時計として使うことができるケースのプロジェクト「TikTok+LunaTik Multi-touch Watch Kits」だろう。72時間で2万ドルを集め、最終的には1万3512人から約94万ドルを集めるに至った。その後、ケースメーカー大手も同様のケースを発売し、Appleはセカンドバージョンとなるマルチタッチに対応したiPod nanoに18種類もの時計の文字盤を追加するに至った。非常にユニークなプロジェクトのきっかけがKicksterterであったことは、非常に興味深い。
この動きを裏付け、また対照的だった体験が、ラスベガスで毎年開催されている世界最大の家電見本市である2012 International CESだ。プレスデーの前日に行われるUnvailedといわれるレセプションでは、CESで初のお披露目となるプロダクトを集めた場で、今回のCES参加で非常に楽しみにしていたイベントの1つだった。もちろん新しくて面白い、きちんと動作するプロダクトもあるにはあったが、あまり大きな感動が得られたわけではなかった。
例年、大きなメーカーも小さなメーカーも、このイベントに照準を合わせて新しいプロダクトが披露されるが、ユニークなプロジェクトやプロダクトを見つけにくくなっているように感じている。とりわけソーシャルメディアのパワーが強まってきたせいか、ラスベガスへ行って出展料を払って「お祭り」に参加するよりも効果的な製品のローンチの方法が充実してきたことが考えられるからだ。
日本でもデジタルガレージが2011年11月に開催したNew Context Conference 2011でメイントピックとして掲げて紹介した「リーン・スタートアップ」(Lean Startup)。米国のスーパーのひき肉売り場でも「Lean」という単語を見つけることができるが、贅肉(脂分)が少ない、引き締まった、という意味だ。ソフトウエアやウェブサービスの開発の文脈で紹介されていたこのキーワードも、プロダクトを作る面、広める面で、ガジェットの世界にも適用されつつあるのではないか。
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