「クラウド連携」「ビッグデータ収集」--ガジェットに見る2つのトレンド - (page 2)

クラウド連携の窓口となるアプリとスマートフォン

 さて、Jawbone UPに続いて、Nikeも「Nike+ Fuelband」をリリースし、リストバンド型で人の活動についての情報を集めるガジェットを展開し始めた。もっとも、Nikeはこれまで、シューズにセンサーを埋め込んでiPodにデータを取り込むことができるNike+iPodや、GPSを使ってランニングのデータを計測するアプリでNike+GPSをリリースしてきた。

 これらのガジェットから、最近のガジェットのパターンを見出すことができる。それは、データを取り込むガジェットで集め、それをクラウドへ送り込むというパターンだ。特にJawbone UPの場合、常に身につけるリストバンドを、同じく常に身につけているiPhoneのイヤホンジャックと接続してデータをアプリに取り込み、これをクラウドに保存する、というデータのエコシステムを作り上げている。


iPhoneのイヤホンジャックと接続してデータをアプリに取り込める

 クラウドに送り込んだデータは、友人と共有したり目標を共有したりして、一緒に達成するために活用することができるようになる。あるいは、生活週間の改善などにこのデータを活用する場合は、(情報の共有に注意深くなる必要はあるが)ドクターと情報をシェアすることもできるようになるだろう。

 UPを使っていてなにより感動している点は、情報の取り込みが楽チンで、電池が持つ点だ。毎日使うものを毎日充電しなければならなくなったり、USB接続でデータを取り込んだりするのは面倒臭さが先に立って、そのうちやらなくなってしまう。BluetoothやWi-Fiが内蔵されていれば無線でデータ共有ができるかもしれないが、そのために毎日充電するとしたら本末転倒だ。その点、UPのiPhoneジャックでアプリと同期を取る、というアイデアは、非常に良いバランス感覚だと思う。

 モバイルアプリ、あるいはスマートフォンを上手に活用しながら情報を取り込み、クラウドに保存し、共有したり分析したりする。プロ用機器や専門的なツールであれば対して珍しいデータのエコシステムではないかもしれないが、これが身近なガジェットに適用されると、ヘルスケアはもちろんのこと、非常にたくさんの分野での活用の世界が開かれるのではないだろうか。

「環境情報」というビッグデータに挑む

 筆者が卒業した学部の名前は「環境情報学部」だった。20年以上前にできた比較的新しい学部だが、この学部名を紹介してすぐに何をやっている学部かを理解してもらえたことは1度もない。しかし、今後、この言葉がよりクリアに理解できるようになる世界がやってくるかもしれない。

 環境情報というと、環境問題に関連しているんじゃないか、という指摘を受けることがある。もちろんそれも含まれるが、人間を取り巻くあらゆる情報を示している言葉だ。例えば、暑い、寒い、といった肌で感じる情報もあれば、コンピュータの世界での情報も含まれる。

 最近のトレンドとなっている「ビッグデータ」は、人間が意識した行動やその結果生まれるものの集積が中心となっている。しかし意識していない情報もまた、膨大な量にのぼる。例えばUPは、ただ歩いているだけで、ただ寝ているだけで、情報が蓄積される。今まで人間が気づくことが難しかった種類の情報を集めて、グラフで示してくれるのだ。そう考えると、ビッグデータはこれから途方もない情報量が見出され、これを可視化したり、分析したり、関連性を見出すプロセスに載せて行くことになるのだ。

 もちろん、全部の情報が必要ではなく、何らかの視点や切り口によって、集めたり分析・活用する情報を選別する必要がある。しかし、もしその情報がまだ収集されていないとしても、UPのような簡単で生活に役立つデバイスを使うことによって、サービスを実現することができるようになるはずだ。

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