シャープ、液晶製造をモバイルと大型にシフト

 シャープは6月3日、2011年度の経営方針説明会を実施した。先の決算会見で発表を見送った業績予想と、液晶事業の構造改革について発表した。液晶パネル製造はモバイル用と60型以上の大型モデルにシフトする考えを示した。

シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏 シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏

 2012年3月期の業績予想は売上高は前年比ほぼ同等の3兆500億円、営業利益は同22.9%増の970億円、純利益は69.1%減の60億円とした。大幅減となる純利益に関しては、大型液晶操業損の特別損失によるものとしており、特に第1四半期(2011年4~6月)は、大型液晶パネル工場の投入停止の影響などから大幅な減益になるとのこと。ただし、操業損については第2四半期(7~9月)以降は発生を見込まないとした。

  • 主要商品、デバイスの2011年度の見通し

 主要商品別に見ると、液晶テレビが前年比15.4%減の6800億円で、台数は微増の1500万台、携帯電話が同5.6%減の3900億円で、台数は微減の960万台、太陽電池は同20.5%増の3200億円で、販売量は36.9%増の1700メガワットになるとしている。

 液晶パネルに関しては「売上高は1兆200億円と前年比ほぼ横ばい。大型液晶は前年比30%減を見込んでいるが、モバイル液晶は同50%増となる予測で、モバイル液晶の売上高構成比も2010年度の35%から2011年度は半分強にまで拡大するとみている」(シャープ代表取締役社長の片山幹雄氏)とした。

スマートフォン、タブレット端末の需要増に対応

  • 液晶事業構造改革のコンセプト

 液晶事業に関しては「市場(の成長)が鈍化してきた。パネルは価格が下落し、主要液晶メーカーは収益の悪化に直面している。その一方でスマートフォン、タブレット端末など高精細液晶のニーズは急激に高まっている。この環境変化に迅速に対応し、事業拡大と収益向上ができる事業構造改革に取り組む」(片山氏)とし、事業構造改革の狙いを説明した。

 シャープが取り組む液晶の事業領域は、モバイル液晶と60型以上の大型液晶。コモディティ化されている20~40型の普及サイズに関してはアライアンスによる外部調達を採用することで収益性を向上させるとしている。

  • シャープが目指す液晶事業領域

 モバイル液晶は、スマートフォン用の「CGシリコン液晶」、タブレット端末用の「IGZO(イグゾー)液晶」と特徴ある2つのパネルを推進していくという。そのため亀山第1工場に「CGシリコン技術」を導入。2011年度中に設備導入を進め、2012年度の需要に対応していくという。一方IGZO液晶は、亀山第2工場での生産体制を整えていくとのことだ。

 「CGシリコン液晶は、精細度と画面サイズが思った以上に上がらず目立たなくなっていたが、ここにきてスマートフォン用として引き合いが増えてきた。天理工場、三重第3工場での生産を続けていたが、これ以上生産を上げられないので、いよいよ亀山第1工場に技術を投入する」としている。

 もうひとつの成長の柱として位置づけられた大画面液晶に関しては、北米市場で60型以上のテレビ販売を前年比5倍に増やす方針を示した。

 「米国の景気が回復してきており、リアプロジェクションテレビや初期の液晶、プラズマテレビからの買い替え需要が伸びている。これまでの実績が評価され、全米で前年の4倍近い店頭展示獲得に成功している。年末に向けて展示数はさらに伸ばす」と意欲を見せる。また、非テレビ向けの大型液晶として、デジタルサイネージ、電子黒板、テレビ会議システムなどの製品による販売増を見込む。

 生産は大阪堺工場。60型で8枚、70型でも6枚がとれる第10世代のマザーガラスとUV2A液晶技術を用いて、大型液晶に取り組んでいくとのことだ。

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