SDカードの標準規格を策定する団体「SD Association」(以下SDA)が、“新しい無線通信標準規格”をメモリカードに追加すると発表(PDF)した。「Wireless LAN SD」(無線LAN内蔵SD)と呼ばれるもので、SDA初の無線機能内蔵のSD標準規格となるものだ。そしてこれは、1月10日~13日、米国ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大規模の消費者向けテクノロジートレードショー「2012 INTERNATIONAL CES」の開催前日となる1月9日にリリースされ、一般にはCESでお披露目された形だ。
一般論でいえば“標準規格化”は歓迎されるものだ。たとえば対応製品を作るメーカー側に立てば、独自規格はいつ廃れるかわからないだけに、標準規格化されるだけで安心して物づくりに励むことができる。結果として、多くのメーカーが規格の採用を考えるというわけだ。多くのメーカーが採用する規格ともなれば、ユーザー側もその製品を購入しやすくなる。こうした循環はユーザビリティに影響を与えるだけでなく、コストの低下にもつながる。こうして思案してみると実にいいことだらけだ。
しかし、この発表に対して異論を唱えるメーカーがある。“独自規格”で無線LAN SDカードを牽引する「Eye-Fi」だ。米Eye-Fiは現地時間の1月19日、日本法人のアイファイジャパンでは1月24日にそれぞれ「SDAのiSDIO標準化に関する発表について」と題した“反論”を公開した。
「SDAの規則では、規格の標準化に関して、60日の検討期間を設けることになっています。この期間内にSDA加盟企業はSDAに対して、自社の知的財産権・特許権を主張したり、特許のライセンスを与える意思表明をしたりすることになっています。SDAの通知した規格の内容が加盟企業の知的財産権・特許に抵触し、かつそのライセンスをSDAに提供しない場合は、SDAは規格仕様を改定し、再度検討期間を設け、最終的にはSDAの幹部による投票で規格の採用が決定することになっています。
Eye-Fiも加盟企業の1社でありますが、現時点では、加盟企業による上記の検討期間もまだ終わっていませんし、規格の採用に関する投票もこれから実施されると考えています」(一部抜粋。原文ママ)
Eye-Fiの主張はこうである。「規格の標準化に関して、検討期間である60日を迎えずにSDAは標準規格として発表してしまった。この間、自社の知的財産権・特許権を主張することはできず、発表後にEye-Fiが保有する複数の知的財産・特許の詳細を提出することになってしまった」。
すでにニュースなどでも取りあげられているトピックだけにご存じの方もいるかもしれないが、Eye-Fiの主張に対してSDAの反応は以下の通りである。
「今回のSDAの発表に対して、確認の連絡をしたところ、SDAからは、“知的財産権・特許レビュー段階になれば、技術の詳細の内容の変更はできず、ライセンスに関する部分の変更のみになるため、過去にもこのレビュー期間中の発表を実施したことがある。”との回答をいただきました」(一部抜粋。原文ママ)
つまりSDAとしては、標準規格策定のプロセスとして、レビュー期間中であっても発表を実施したことはあるし、問題にしていない。“知的財産権・特許権”に関してもライセンスの問題であるという立場だ。
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