世界には、インターネットアクセスは基本的な権利だと主張する国もあるだろうが、「インターネットの父」の1人であるVint Cerf氏はそうは考えていない。
GoogleのチーフインターネットエバンジェリストでもあるCerf氏は、米国時間1月4日付けのThe New York Timesの論説で、「技術は権利を実現するものだ。権利そのものではない」と記した。「あるものが人権としてみなされるための条件は高い。簡単に言えば、拷問からの解放や良心の自由のように、われわれが人間として健康で有意義な生活を送るために必要なものでなければならない。特定の技術をこの崇高なカテゴリに分類するのは誤りである。そのようなことをすればわれわれは将来的に、誤ったものを尊重することになってしまう」(Cerf氏)
しかし、すべての人がこれに直ちに同意するわけではない。フィンランドは2009年、1メガビットのブロードバンドを法的権利とし、100メガビットのブロードバンドを2015年末までに権利とする計画を発表した。同国のこの決定のわずか数カ月前にはフランスが、インターネットアクセスは基本的人権であると発表している。
欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)の副委員長を務めるViviane Reding氏は同年、欧州議会への書簡に、インターネットアクセスはわれわれが尊重する他の基本的自由と変わらないと記した。
しかし、Reding氏や同氏の意見に同意する人々は、論点を見落としているかもしれない。Cerf氏によると、ウェブ全体における実際の問題は、この権利を実用的に実現するには定義が難しすぎるアクセスではなく、ユーザーが「自分の人権および市民権を行使」できるようにするために「技術の作成者」がインターネットを使用する方法であるという。
「この意味において、エンジニアは、ユーザーに権利を与えるというとてつもない義務を負うだけでなく、オンラインにおけるユーザーの安全性を確保する義務も負う」とCerf氏は主張する。「つまり、例えば、コンピュータに密かに侵入するウイルスやワームといった具体的な被害からユーザーを保護しなければならない。技術者は、このことを目標として業務に取り組むべきである」(Cerf氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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