わたしは、ITは転換点にあると考えている。わたしは最近の何本かの記事で、時代遅れにならないためには、最高情報責任者(CIO)の役割をどう進化させていくべきかを議論したが、実はこの議論は特に新しいものではなかった。これまでも、IT部門は常に進化する必要があったし、ITリーダーの役割もまた、大きく変わり続けてきたのだ。この記事ではこれを念頭に、今後1年間を切り抜けようとする中で持ち上がってくるであろう、わたしが考える5つの問題を挙げてみる。当然他にも問題はあるが、ここでは、わたしが特に重要だと考える5つの問題だけを紹介する。
従業員の満足度は、その日の曜日、ヨーロッパの状況、空模様、不景気を抜け出せたかといったことに影響される。ともかく、過去数年間で何ラウンドかの一時解雇が行われ、残された従業員が縮小した組織に整理統合されるにつれ、アメリカの労働者はますます強まるプレッシャーにさらされている。組織に残った人で、人員削減前と同じ仕事量をこなさなくてはならないという話も、数え切れないほどある。最近、2012年にはIT業界の雇用状況が上向く可能性があるというレポートが発表された。雇用が増えれば、これまでにリストラされた人たちは新たに用意された職に群がり、自分の組織の不可欠な人材が流出するリスクも高まる。一部の企業は、「従業員は仕事があるだけでもありがたいと思うべきだ」という思考法を身につけてしまったようだが(わたしは、外向きには人材を大切にしていると自慢している組織の最高財務責任者(CFO)から、まさしくこの言葉を聞いた)、こういった態度は、有能な人材を引き留めようとすれば変わらざるを得ないだろう。CIOとしては、部下たちが前向きな形でやりがいのある仕事に立ち向かっている状態にあり、適正な給料を受け取っており、しかも燃え尽きてしまわないようにする必要がある。
自前のデバイスの持ち込み(Bring Your Own Device、BYOD)の話題に関するブログや記事がよく書かれているが、わたしこれらの記事を詳しく読んでいるし、自分でも書いている。記事ではCIOにこのトレンドに乗るよう勧めていることが多いが、一部の記事ではこれに断固として反対している。個人的には、BYODは今後止められない勢いで普及すると考えている。もしまだ終えていないのであれば、2012年には多くのCIOが、そういったデバイスのサポートに関するポリシと手続きを作る必要に迫られるはずだ。しかし、これらのポリシと手続きには、あらゆるもののサポートを含める必要はない。実際、高水準な情報セキュリティを維持し、組織や組織の情報資産を確実にコントロール下に置くためには、正しいポリシと手続きは、企業のリソースに対して何が許され、何が許されないかを制限し、コントロールするものでありつづけるだろう。
しかしそのフレームワークがなければ、CIOには、何にでも「ノー」と言うか、サポートに一貫性がない、アドホックなサポートだけを提供するくらいしか選択肢がなくなってしまう。しかし、そのどちらも許されない。CIOが何にでも「ノー」と言えば、従業員や役員さえもが指示を無視し始め、組織には「影のIT」リソースが溢れかえってしまうだろう。CIOがアドホックにサポートを提供すれば、最後にはありとあらゆるものをサポートしなくてはならなくなり、吟味された一連の手続きなしでは、組織の持つ情報資産をリスクにさらす可能性がある。
これまでiPad革命に抵抗してきたCIOも、2012年には、このテクノロジーを取り込む方法を見つける必要があるだろう。モバイルを取り込み、自分のものにするのだ。
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