「うつ病」という病名を頻繁に耳にする現在。普通に仕事をこなすことが難しくなり休職する人もいるだろう。そのような状況で、本当に助けになる言葉があるとすれば、同じようにうつを経験し、今なお病とつき合いながら会社勤めをしている著者のような人間の言葉だろう。
うつ病は気力でどうにかなるものではなく、医師の適切な治療が必要な病であるということ。ただし、適切な治療をすれば治癒するということ。この基本的なことさえ多くの人は知らない。そのために、うつ病になった本人も周りも無理をしすぎて、疲弊してしまうのかもしれない。
そうならないために著者は小さな工夫を繰り返し、できることを増やしていく。自分の気持ちを記録したり、仕事の段取りをマニュアル化したり、とにかく「普通」に仕事がこなせるように気を配っている。そして、さまざまな所にバックアッププランを作っておき、体調の変化に対応できるようにしている。自分でコントロールできない部分に振り回されないようにコントロールしている、とも言える。小さなことから始めるだけで、ここまでできるのだ。
病気を持つ人の本当の気持ちは、同じ病気の人にしかわからない。だからこそ、著者がうつ病を抱えながらも本書「『うつ』とよりそう仕事術」(出版:Nanaブックス)を執筆したことには、大きな意味がある。より多くの同じ状況に置かれている人、そして、そばに理解を必要としている人がいる人に読んでほしい。
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