ファイル交換ソフト「Winny」を開発した金子勇被告が著作権違反の幇助に問われていた裁判の上告審で、最高裁判所は12月19日付けで、「多数の者が著作権侵害に利用する可能性が高いと認識していたとはいえない」として、検察側の上告を棄却した。これにより、逆転無罪となった二審判決が確定する。
一審の京都地方裁判所では、2006年12月に罰金150万円(求刑は懲役1年)の有罪判決を言い渡された。その後二審の大阪高等裁判所で改めて無罪を主張し、2009年10月に無罪判決が言い渡されていた。この判決を不服とする検察側が最高裁判所に上告していた。
金子氏は現在、分散コンピューティング技術を活用したソフトウェア製品の開発や販売を手がけるSkeedの社外取締役を務めている。今回の最高裁による上告棄却について金子氏は、以下のようにコメントしている。
私は、今回の事件で開発を躊躇する多くの技術者のために訴訟活動をしてきました。今回の決定で、私の開発態度が正しく認められたことをありがたく思っております。今も、インターネットを巡る問題はたくさんあります。私は、これらの問題の解決のために微力ながら最大の努力をしていきたいと思います。
また、Winnyを悪用することのないよう、さらには、よりよいIT社会が実現できるよう、改めて、多くの方々にこの場を借りてお願いする次第です。
最後になりますが、逮捕直後より、ご支援をいただいたたくさんの方々にお礼を申し述べたいと思います。本当にありがとうございました。
また、Skeedの代表取締役社長である明石昌也氏も以下のとおり、コメントを発表した。
私としても本件の無罪を確信しておりましたが、最高裁判所における上告棄却の報を聞き、自分でも予期せぬほど胸がいっぱいになりました。
Skeedは、創業者である金子勇のリーダーシップのもと、最先端のソフトウェア製品を開発することで発展してまいりました。この間、わたしは金子との交流を通じて多くの若い技術者が成長していく姿を見てまいりました。今回の判決結果がその輪をさらに大きく広げ、日本のソフトウェア業界を盛り上げていくことを期待してやみません。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果