パリ発--「Evernote」を試しに使ってみたユーザーの多くは、メモをクラウドに保存できる同サービスへの関心をすぐに失ってしまう。
しかし、最高経営責任者(CEO)のPhil Libin氏は心配していない。なぜなら長い目で見れば、こうしたユーザーは戻ってきて有料サービスを利用し始めるからだ。Libin氏は現地時間12月8日、当地開催のLeWebカンファレンスでその主張を裏付ける統計結果を示した。
サインアップ後の最初の1カ月で、同サービスに戻ってくるユーザーの割合は約45%だ。17カ月後になると、その割合は22%まで半減する。しかし、その後は増加に転じ、42カ月後には43%まで回復する。
そうしたユーザーはEvernoteを定期的に利用するようになると、最終的に有料版へ移行する。
「使用開始後の最初の1カ月で有料版に登録するユーザーの割合はわずか0.5%だ。その後、月を追うごとにその割合は拡大していく。使用期間が長くなればなるほど、有料版へ移行する可能性は高くなる」(Libin氏)
同氏のグラフは、有料ユーザーの割合が使用開始後の33カ月で11%まで着実に増加し、42カ月後には26%まで急増することを示していた。
「それは長期的価値の構築だ。ユーザーに料金の支払いを求めず、サービスを好きになる時間を与えれば、彼らは有料版を使いたいと思うようになる」(Libin氏)
ユーザー数も増加している。この1年間で、Evernoteのユーザーベースは500万人から2000万人に拡大した。そのうち、75万人は有料ユーザーだ。Libin氏は売上高の開示は控えたが、有料サービスの年間利用料が45ドルであることを考えると、現時点で年間約3380万ドルの前後と考えてよいだろう。
Evernoteは同社のアプリを携帯電話にインストールしてもらう契約を結ぶことで、ユーザーベースの拡大を図っている。同社は日本の無線通信事業者NTTドコモともそうした提携を結んでおり、8日にはFrance Telecom傘下のOrangeとの提携も発表した。
Evernoteは新たにSequioa Capitalから5000万ドルの出資を受け、同社自体も大きくなっている。
「弊社は約6カ月前に黒字を実現」し、その後で新たな出資を受けた、とLibin氏は述べた。「今は迅速に人材を雇用しているため赤字に戻っているが、数カ月以内に黒字に復帰できるはずだ」(同氏)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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